☆空想代理日記☆
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昨日は病院と呼ばれる白くて大きな建物に足を運ばなくてはいけない日だった。足を運ぶといっても、身許不明の三十代男性のものらしき足をクール宅急便で運ぶわけではなかった。
どういうわけか袴姿の女性がちらほらといた。女性はいろいろなことがあるたびに衣装をかえるのだが、頻繁には視られない姿なので嬉しかった。咽がごくりと鳴りそうだった。
なぜ、咽が鳴らなかったのかというと、朝食に喰べた魚が原因だった。今のはどう考えても飲みこんだら自殺行為だろ、と思ってしまうほどの骨が何回も刺さったのである。
何かの番組で、ご飯を飲んで骨をとるのは危険だといっていた。かといって除去しないわけにはいかない。
とりあえず大きな声で笑ったりした。病院へ行く道すがら、袴姿の女性には眼をふせられたし、看護士たちは蜘蛛の子散らすように不逞者から離れていったし、白衣の男性は優しくそっと不逞者のおでこに手をあててきたりしたのだった。
結局は知らないうちに魚の骨は消えていたのだった。改めて病院という場所はすごい奴だと思った。
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