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 お婿にいった四+カカのお話
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  カカシとテン子のど〜でもいいヒトコマ


  a sirial -暗部なテンカカ話-

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  ぱすてぃす〜後朝 -18禁-

  猩々   おまけ -18禁-
  モジモジしている二人の一歩
  マラスキーノ 後日談
 ホワイトデー話

  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
  カカシの過去を垣間見る

  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
  嫉妬な先輩


  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
  百年の孤独-6話
  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


  a`la carte
  -暗部なテンカカとヤマカカの間話-

  春霞-4話
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  ちぇい・べっく
 -可愛いお嬢さん-
4話
  ※2,3に、ごく軽くテンゾウ女体変化あり
  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
 イルカ先生の存在が気になるテンゾウ

  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
 du chef
-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2007年06月08日(金)
九夜十日 ―前―


「満月までに、戻られますか?」
カカシ率いる出陣部隊が、暗部棟でイタチとすれ違った。
いつものとおり軽く会釈して行き過ぎたとき、イタチが問うてきた。
いきなりのことに隊員たちは振り返る。なんだ今の? だれも何も言わないが、やや緊張した空気が漂うなか、
「ん〜。無理!」
カカシが、いつもの気の抜けた返答を返し、場は急速に平常に戻る。
「そうですか。お気をつけて」
「あんたもね」
それがちょうど十日前――そして。

報は、帰還途中にもたらされた。
「うちはの御曹司が、一族を惨殺したうえ里抜け?」
里からの伝令の式を受け取ったカカシから耳打ちされて、小隊のリーダーが声を揃えた。
里まであと半日と少々。野宿をしていた部隊は出立の支度をしていた。
朝の光が森を緑に染めている。
イタチが? 惨殺って? 里抜け? ざわざわと隊員が言葉を交わす。
テンゾウはそのざわめきを聞きながら、珍しく鳥肌がたつのを覚えた。
「うちはの御曹司って、あのイタチ?」
イナダがテンゾウに寄って行く。
「じゃないか? ほかには知らない」
「一族惨殺って、じゃ、写輪眼は?」
言いながら、イナダは無意識にだろう、カカシを見た。その視線をテンゾウが追う。
「分隊長だったんだよね? イタチさんって」
相手のほうが入隊は後なのに、立場は上だからと敬語をつけるのはヒガタのヒガタたるゆえんだが、この場にはなんだか不釣合いだとテンゾウは思った。
「最年少の分隊長だって、騒がれていたからな。まあ、あれはうちは一族に対する儀礼的な意味もあったんだろうけど」
皮肉っぽい言い方をするイナダに、ヒガタは
「でも、実力はあったよ」
と言った。
暗部は組織編成が流動的で、そのときどきでコロコロ変わる。このころは正規部隊同様、リーダーひとりにスリーマンセルの部下で1小隊が基本だった。小隊3つで1分隊、分隊の長は3つの小隊のリーダーのいずれかが務める。
そして、テンゾウらカカシ直属の隊のほか2小隊で1分隊、イナダやヒガタは、その2小隊にそれぞれ属していて、分隊単位の任務のときは一緒だった。もちろん、分隊長はカカシだ。

「静かに」
小隊長のひとりが、ざわめきを制した。カカシが立ち上がり、全員を見回す。
「聞いてのとおり、うちはイタチが一族を惨殺し、里を抜けた。万が一、遭遇したら確保のこと。といっても、ほとんど里内といっていいこの位置じゃ、会わないとは思うけれどね」
風が吹き、ザ、と木の葉の揺れる音がした。
――今年、アカデミーに上がったという弟は、どうしたのだろう? あの子も殺されたのか?
一緒にいるところを二度ほどみかけたことのある、兄に良く似た弟をテンゾウは思い出す。
全体的に、イタチより大らかな印象があった。伸び伸び育った弟といった感じ、だろうか?
イタチがその風貌に似合わず、意外と世話焼きなのを、テンゾウは知っている。もっとも、指摘したのはカカシだった。
食堂で隣り合えば、ごく普通に醤油挿しを回してくれる。普段のまま無表情で、それをするから、多少違和感は伴うが、そのうち慣れた。聞けば、怪我をした部下のことは当たり前のように手当てをするらしい。
いつだったか、飲み会の席で倒れたコップからこぼれた酒が、イタチとその隣にいたイタチの部下の服を濡らしたことがあった。
コップを倒した隊員は青ざめたが、イタチはふっとため息をついただけで倒れたコップを起こし、まだテーブルから雫を落としている酒を拭いた。それから酔っ払って自分の服が濡れたことにも気づかない部下の服を拭き、最後に自分の服を拭いた。
見ていたカカシが「ああいうところが、お兄ちゃんだねえ」と笑ったので、イタチが日常的にそうやって弟の面倒を見ているのだとテンゾウは気づいたのだ。
その弟のことまで、彼は殺めてしまったのだろうか。
親愛と憧憬と甘えの混ざった眼差しで、兄を見ていた弟を。
「尚、アカデミー生のうちはサスケは保護された。ただし精神的な衝撃が大きく、病院にて治療中」
――ああ、弟は……生き残ったのか。
そう思った途端、キリキリと胸に痛みが走った。
イキノコリ……その言葉を、あの弟も負うことになるのか。

里に戻って、テンゾウは改めて驚いた。
一族を惨殺というのが、比喩ではなく事実だったからだ。
どこかで、まさか皆殺しではあるまいと高を括っていたのかもしれない。
警務部隊を率いる一族だ。だいたいが忍か元忍、それも平均して能力値が高い。
隙をついたにせよ、たった一人で。そう思うと、身震いせざるをえない。
おまけに、一族はひた隠しにしていたが、イタチを巡って諍いが起きていた気配もあった。
ならば、一部の者からは警戒されてもいただろうに。
うちは一族の住んでいた区域は封鎖され、いまだ血臭が一面に漂っていた。
夕焼けに染まりつつある空の朱が、まるで血のように見える。
「あーあ。やっちゃったんだねえ」
背後の気の抜けたような声は、カカシだ。
「やっちゃった、とは?」
「んー、ちょっと気にはなっていたんだ」
「うちはイタチのことが?」
「あの子は、生まれる時代、間違えたのかもしれないね」
カカシの話が飛躍するのは、いつものことだ。テンゾウは黙って先を待つ。
「あの子が、もてる才を活かすには、平和過ぎたのかなぁ」
「そう……でしょうか」
「あのね、あの年頃、暇があるのはよくない。余計なことばっかり考えるし、だいたい浅くて狭い経験に基づいて導き出される結論は、ロクなもんじゃないの」
何をどう返していいかわからず、テンゾウはただ黙って頷いた。
「まあ、普通はちょっとグレたり、悪戯したり、多少、才能があれば、ここは忍の里だからたいていは忍になって、任務だ修行だ、で、暇をもてあますほどの余裕はなくなるものなんだけど、イタチはねぇ」
「その程度じゃ、物足りなかった、ってことですか?」
「女に走る、薬に走る、そういうのもいるけれど、頭がいいとそれがどんな結果を招くか読めてしまうから、つまらないわけよ」
「なんか……先輩、自分のことみたいですよ」
ひとの姿の絶えた一角に向けられていたカカシの視線が、テンゾウに移った。
「オレ? オレはそんな才能ないもの。もっともあの時代は大変だったからね。もし平和な時代だったら、どうかなぁ。せいぜいが、薬?」
「あれ? 女じゃないんですか?」
カカシは肩をすくめただけだった。くだらないと言っているようにも、また、まいったねと言っているようにも見えた。
「あー、でも、鬼より怖い先生がいたから。平和でも、楽はさせてくれなかっただろうね、きっと」
「そんなに怖かったんですか?」
写真で見る限り、四代目はどちらかというとクールで気性も穏やかそうに見える。
「怒鳴ったりするひとじゃなかったし、あれもだめ、これもだめ、と何かを禁止したりするようなこともなかったし、ある面、子ども心にもお人よしだなと思うところはあったし、誕生日には必ずサプライズパーティをやってくれたし、そういう意味じゃ、すんごく可愛いがられたなとも思うんだけど……」
そう言って、カカシは視線を遠くに飛ばした。
ときどき、カカシはこんな目をする。
自分の知らない時間を覗き込んでいるような姿に、テンゾウはイライラしてしまう。

「自分で、あ、これは甘いな、と思うようなとき、ってあるじゃない。つい、言い訳考えちゃうような」
「やるべき修行をさぼったりとか?」
「うん、まあ、それでもいいかな。で、自分ではサボったってわかってるじゃない」
「そうですね。自分ではわかりますよね」
「今の例で言えば、先生は修行しろと命令したりはしないわけ。ただ、サボってるのがバレると、演習のときにさりげなく叩きのめしてくれるわけ」
「はあ……」
まあ、サボっているのがバレれば怒られるわけだから、それは普通だとテンゾウは思う。
「先生が本気出したら、なかなか勝てないでしょ? だから、先生はギリギリの力加減で相手してくれるわけよ。でもって、ちゃんと修行をやっていれば、そこで叩きのめされることはないわけ。負けることはあってもね」
「ああ、つまり、叩きのめされたということは、サボったということになるわけですね」
「そう。でも、何も言わない。サボったでしょ、とも言わない。別に普通」
「あ、それは怖いかも。そういうの、怒られて、ごめんなさい、のほうが、気持ちは楽ですね」
「でしょー? でも、それじゃだめなの。そこで楽になっちゃ、サボったことは先生がチャラにしてくれたことになるわけ。サボったことは、自分に跳ね返ってくるんだから、だれかにチャラにしてもらったら、ダメなの」
確かに、演習だから先生に叩きのめされて終わりだが、任務中だったら……。
「一事が万事、その調子」
それは、けっこうきついかもしれない。
「だからね、叱られたことってほとんどないんだけど。それはもう、痛い目には何度も合った」
普段のカカシのやり方は、まさにその先生譲りなのだろう。テンゾウにはその怖さがよくわかった。
カカシは師ではなく隊長で、任務遂行という目的があるから、隊員は直接痛い目に合うことは少ない。
が、決して、楽はさせてもらえない。それがわかっているから、持てる力を出し切るしかない。
そして、持てる力を出し切れないとき、あるいは失敗したとき……待っているのは死の恐怖。
その渕から掬い上げてくれるのはカカシで、しかしその結果、傷つくのもカカシ……。
任せた以上、任せたことの責任はとらないとね、というのがカカシの言い分だ。
ある意味、自分が傷つくより、痛い。

「イタチには、そういう先生がいなかったんだね」