萬葉集覚書

2006年12月22日(金) 14 香具山と 耳成山と

香具山と 耳成山と あひしとき 立ちて見に来し 印南国原


香具山と耳成山が争ってる時、それを見に来た神が立ったとされる印南国原よ。





13の長歌に対する反歌です。
香具山と耳成山が、畝傍山をめぐって争っているという噂は、遠く出雲の神々にも届いたとみえて、わざわざ飛鳥まで仲裁をしようとやって来た神様がいたと、播磨国風土記は伝えます。
やって来たのは、阿菩大神という神様でした。
どういう霊験をもたれた神様なのか、さっぱりわかりませんが、一説にその後阿菩が伊菩と訛り、疣を落とすのに大変霊験あらたかな神様として出雲の地に鎮座座しましていらっしゃるとか。
それはさておき、仲裁のため出雲から出てきたところ、播磨の国の印南の地まで来た時に、諍いが収まったと聞いてその地に立ち尽くしていたという伝説が残っているそうです。
で、せっかくここまで来たのだからと、その地に鎮座されたという伝説もあるそうで、それが印南国原とされていました。


なんでまた大和三山の妻争いの話がいきなり播磨の国に飛ぶのか、と思いませんか?
この歌、大和から印南国原を偲んで詠われたものではありません。
見るからにその地に来て、印南国原をその目で見ながら詠んだととれるのですが、これは百済救済で熟田津への道筋と考えれば得心がいきますね。
だから、昔からそういう風に解釈されている歌なんです、実は。


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セレーネのためいき

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