見覚えのある駅の長い階段を下りてゆくと忙しそうに行き交う人の中こちらを見上げている暑い光と風が吹いてざざっと 柳が大きく揺れたそのヒトは懐かしそうな顔をほころばせて 言うさぁ、一緒に行こうしだれた柳の影はそのヒトの髪のように暑い風に 黒く揺れてワタシは たちすくみこの柳の木になりたいと前へも 後ろへも 進むことはできないけれどこの柳になれるならいっそ なってしまいたいただ立って 揺れていられるのなら