シャッター - 2006年06月08日(木) 夜に少しだけ時間ができたから、仕事帰りに電車を乗り継いで逢いにいった。 逢いに行ったけど、どこか店に入るほどの時間はなかったから、ひと気のなくなったオフィス街を手を繋いで歩いた。 話すことは、なかった。 何を話そうとしても、その言葉はこの気持ちを伝えるには不要なことな気がして、口をつぐんでしまった。 手のひらから、指の間から感じるものだけで他には何もいらないと思った。 地下鉄の入り口まで来たとき、まだ乗ろうとする電車にはもう少しだけ間があったから、地下に降りる階段のすぐ脇にあった自動販売機で缶コーヒーを買って、10メートルくらい先の外灯の谷間になってるガードレールに腰かけた。 ふと前を見ると、アスファルトに並んだふたつの影。 なんだかとってもいい感じで、記録しておきたくなって携帯電話を取りだしたけれど、ファインダーは真っ暗な画面になるばかり。 そうそう、デジカメも持ってるんだった。 うーん夜景モードにしても無理かなぁ。 そうだ、フラッシュたいてみようか。 ぴかっ。 うわ、こりゃ全然だめだ。 真っ白だ。 そりゃそうだよねぇ。 当たり前だよねぇ。 あはは。 あはは。 笑うふたりの影は揺れていた。 ほんといい感じなのに残念だね、と言いながら、心の中ではそんな風に思ってなかった。 いつもよりゆっくり目にまぶたを一回閉じてみたから。 ちゃんと記録されたから。
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