キス - 2006年06月05日(月) その柔らかさを確かめるように、左に右に下に上に真ん中に、ふわりふわりと唇を弾ませる。 離れているより接触している方が少し長くなった頃から、薄く開いたふたひらの隙間から溢れる空気の温度と湿度が1%あがって、それを合図に湿度の元になっているもう一枚の花弁が花弁同士の交合を求めてさまよいだす。 押し込んだり押し込まれたり、吸い込んだり吸い込まれたり、絡めたり絡めとられたり。 唇に全神経を集中させればさせるほど、唇を中心に潤いが全身に広がっていく感覚に痺れる。 ああ、なんて美味しいの。 わかった。 あなたが好きなんじゃなくて、あなたの唇が好きなんだきっと。 そのキスで このキスで 逝かされて 生かされる。
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