始まりに 正月辺りはいつもついてない星巡りらしい だからわたしの正月は冬至の翌日 少々早すぎるかと思ったが 太陽が一巡りして新しくなった日にしてしまおう そう無理矢理決めたのは一昨年のことだったか
けれどもわたしは早速にその取り決めをくつがえし 今年の始まりは立春とした
日常という道の途中にこっそり潜んでいる穴 鼻歌混じりで歩きながらどさりと落ちる どさりと落ちても何食わぬ顔で這い上がり 粛々と歩く でも這い上がるには足場が必要
だからわたしはここに置くことにした 丁寧に磨かれたブラックオニキス びかびかすべすべのマイルストーン この磨きはマイスターの仕事だ わたしはここを足場に這い上がろう
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