2010年10月17日(日) |
そういう気分になりたいこともあるんだ |
その人は詩人で小説も書く。 その人は数年前ちょっとした賞を取った。 どんな小説かと言うとそれは西日のあたるアパートの洋室の窓辺に置かれたアップライトピアノの上で音もなく舞っているほこりのような小説なんだけど。 いつも新刊が出るとつい読んでしまう。 とても好きというのじゃない。 読むと楽しいというのでもためになるというのでもない。 たぶん西日にちょっと光りながら舞っているほこりのような気分に時々なりたくなるからだと思う。 どんな気分か簡単には書けない。 詩人が何十ページも費やさなければ表現できない気分なのだから。 暮れかかった窓辺からどこかの夕食の仕度の気配が漂ってくる。 今晩は豚汁? 漂う匂いの源の家族の様子を思いながら もやもやと何かがわたしの胸に立ちのぼってくる。 秋のしんみりと家族の団欒と元気なこどもらと… わたしの遠い昔の何かの記憶がもやもやと混ざり合った秋の夕暮れ。 書いているうちに窓からは塩鯖を焼く香り 夕餉の仕度もクライマックスですね…岡本さんち。
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