2009年06月17日(水) |
男性専用車両導入への違和感 |
昨日、何気なくいつも見ているニュースサイトを見ていると、下のような記事が出ていました。以下、この記事からの引用です。
西武鉄道を傘下に持つ西武ホールディングス(HD)が24日開催する2009年度の株主総会に、「男性専用車両」の設置を求める異例の株主提案が提出される。痴漢の冤罪(えんざい)を防ぐためというのが提案の理由で、今回が3度目。賛同者も広がっているという。 同社の招集通知によると、剰余金の配当や取締役の選任といった議案に続いて「女性専用車両および男性専用車両の設置」という項目が株主10人からの提案という形で記載されている。 提案理由として「痴漢対策は女性専用車両の設置などにより、一定の成果をあげているが、痴漢冤罪対策は全くなされていない」と指摘。さらに、男性専用車両の設置は費用も安価などと定款への記載を求めている。 これに対し、同社取締役会は「個別課題を定款に記載することは不適当」と反対の姿勢だ。マナー向上のためのポスターなど犯罪防止活動が一定の効果を上げている上、「利用者からの要望も少ない」とそっけない。 ただ、株主側によると、08年度の株主総会では、同株主提案に対し、書面投票した株主の47.5%にあたる1703人が賛成している。株主総会で定款変更のためには、議決権の3分の2の賛同が必要。西武HDの株式は約32%を米投資ファンド、サーベラスが保有しており、実現のためにはまずこの厚い壁を崩す必要もある。
最近、大手の鉄道会社では当たり前のように設置されている女性専用車両。当初、女性専用車両の導入に関しては賛否両論があったようですが、上の記事に書いてあるように、女性専用車両は鉄道を利用する女性にとっては概ね好評のようです。以前、知人女性の何人かに女性専用車両について尋ねたことがありますが、朝夕のラッシュアワーで女性専用車両があることは有難いことだと言っておりました。
女性専用車両があるなら男性専用車両も設置すればいいじゃないか?この発想に関しては僕は反対はしません。一つの興味深い試みとして導入しても問題はないのではないかと考えます。
ただ、気になるのは男性専用車両を導入する理由です。女性専用車両が痴漢被害防止のために導入されたのは周知のことですが、男性専用車両に関しては痴漢冤罪対策のためだというのです。僕は痴漢冤罪がどれくらいあるのか詳細を知りません。昨今、痴漢事件で冤罪だったと無罪判決があったニュースは知っています。被害者と言われていた女性の供述に信憑性が無いことを判決では述べていましたが、このようなでっち上げの痴漢冤罪事件が頻発しているならば男性専用車両の導入も可能性としてはあるかなと感じます。
こうした背景には一向に無くならない痴漢行為があるのは言うまでもありません。世の中には一種の病気のような人がいて、痴漢が常習になっているような人もいるのは事実です。女性がこのような痴漢常習者に悩まされることは本当に心が痛い。自らの身を守る意味での女性専用車両というのは僕も理解ができるのです。 ただ、世の中にはいろいろと考える輩がいるようで、一向に減らない痴漢行為を逆手に取っ手何もしていないのに痴漢に仕立て上げられるケースがあるのも事実のようです。こうした痴漢冤罪防止のために男性専用車両を導入する必要があるという主張。
こうした男性専用車両を導入せざるをえない状況に、正直言って僕は違和感を覚えます。そこまでして、男女を隔離するような専用車両を作らないと、男女は信用できないのだろうか?そこまでするのは行き過ぎではないだろうか?ここまで世の中は殺伐としているのかと思わざるをえないのです。
世の中なるべく性差別を無くそうというジェンダーフリーの考えは、いろいろと議論が分かれるところではありますが、徐々に少しずつ世の中に浸透しつつあるように思います。その一方、公共輸送機関の一つである鉄道にはそれぞれの性専用車両を設ける。いくら痴漢防止や痴漢冤罪対策のためだとはいえ、男性専用車両が設けられれば、話はこれだけに留まらないような気がしてならないのです。別の意味での性差別問題が起こるきっかけになりはしないだろうか?そんな危惧を覚えるのです。
僕の危惧は杞憂なのかもしれません。杞憂であって欲しいとは思いますが、鉄道という公共機関でそれぞれの性専用車両が設けられれば、性差別が無くなる世の中の実現というのは、更に遠のくかもしれないと感じた、歯医者そうさんでした。
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