歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年03月13日(金) 入れ歯は体の臓器であるがゆえに・・・

うちの歯科医院は周囲を山や田畑に囲まれた田園地帯にあるせいか、他地区よりも人口が少なく少子高齢化が進んでいる地域の一つです。そのため、高齢の患者さんが大部分を占めています。
高齢の患者さんが多いということはどうしても入れ歯の治療が多くなります。入れ歯といえば、部分入れ歯と総入れ歯があるわけですが、最近多いケースが入れ歯を修理するケースです。入れ歯の一部が割れたり、真っ二つに破損したり、人工歯が取れたりなどなど、入れ歯を手直ししなければいけないケースが多いのです。

僕のモットーとして、入れ歯はなるべく長く使ってもらうことにしています。新しく入れ歯を作り直して欲しいと希望する患者さんが来院しても、入れ歯を作り直すには時間がかかります。直ぐに来院して直ぐに入れ歯を作り直すことはできません。何度か歯科医院に足を運んでもらわないとできない代物だからです。新しく入れ歯を作るまでの間、入れ歯無しでは済まされません。入れ歯が全く無い場合は別として、今使用している入れ歯を使わないといけません。それならば、現在使用している入れ歯に不満があるなら、その不満点を解消するのが先決ではないかと僕は考えます。入れ歯がガタガタしていたり、痛くて咬めなかったり、かみ合わせがしっくりいかなかったりした場合、これらをきちんと修正する。そして、今の入れ歯の不満点を解消してから、新しい入れ歯を作った方がいいのではないかと思うのです。

僕は入れ歯作りの名人ではありません。古い入れ歯の問題点を即座に見抜き、患者さんに満足してもらえる新しい入れ歯を直ぐに作れるほどの技量はありません。試行錯誤をしながらも今使用している入れ歯の問題点を探りながら解決した時点で、その入れ歯を参考にして新しい入れ歯を作る。このようにしないと僕は患者さんに満足してもらえる入れ歯を作り直すことができないのです。

僕は、患者さんには現在使用している入れ歯の問題点を解消した時点で必ず尋ねます。新しく入れ歯を作り直すかどうかを確認するのです。もちろん、僕の考えも伝えますが、最終的には患者さんの判断に任せます。患者さんによっては今使用している入れ歯を使い続けることを選択される方もいますし、新しく入れ歯を作り直すことを希望される方もいます。僕はどちらでもいいと思います。入れ歯は人工物とはいえ体の臓器であるがゆえ、使い慣れた入れ歯がよければそれでいいと考えます。


 < 前日  表紙  翌日 >







そうさん メールはこちらから 掲示板

My追加