今日は週の真ん中の水曜日。うちの診療所は休診日なのですが、僕は休みでありません。某専門学校での講義日です。某専門学校の非常勤講師になって今年で3年になりますが、普段の診療とは異なる講義は、人に教えることの大切さ、難しさを常々感じます。非常勤講師の話を頂いた時は、うれしかったものです。歯医者になって10数年が経過し、それなりの知識、技術、経験をもってきたつもりです。年齢も40歳を過ぎ、後輩に何らかのことを伝えていかないといけないと感じるようになってきた時に頂いた非常勤講師の話。 経済的には診療をやっている方がいいのが正直なところですが、次世代の人たちへの教育は、お金では代えられない貴重な財産です。次の時代を担う人たちに何かを伝えられることは僕にとって大きな喜びであり、挑戦でもありました。
正直言って、講義を始めた2年前は講義を楽しむ余裕というのは全くありませんでした。教科書に書かれていることを理解し、学生に如何にわかりやすく伝えていくか、そのことを考えるだけで息苦しくなり、必死だったものです。端から見ていれば一生懸命講義をしているように見えるかもしれませんが、僕にとって講義を振り返る気持ちの余裕さえありませんでした。
今年の一連の講義も大変さは変わりありません。僕の担当する講義は毎年かなりの部分で内容の変更が伴う科目。去年書かれていた内容と今年の内容とが異なることも多々あります。その都度、変わっている内容を確認しつつ、自分なりに復習していく必要があるわけです。
今回の講義が始まる前、講義の準備に取り掛かろうとした時、僕はふと思ったことがありました。講義そのものは某専門学校の学生に対して教えていくことには違いないのですが、単に学生に伝えるだけではなく、自分なりに講義の内容、準備過程を楽しまないと損ではないかと思ったのです。
歯医者だけをしているなら自分が担当している科目についてはそれほど知識を持たなかったはず。講義をするという機会を与えられたことにより、無理やりながらも調べていくうちに、担当科目の奥深さに気がついたでも言うべきでしょうか。調べていけばいくほどこれまで気がつかなかったこと、自分が知らなかったことが明らかとなっていくのがわかっていくのです。僕自身の知識の無さ、勉強不足は痛感するのですが、それでも、自分にとって未知の分野に対し関心が湧き、知っていくうちに自分の知的好奇心が満たされる。これは非常に面白いことではないのか?そんなことを思うようになったのです。
“好きこそものの上手なれ”ということわざがあります。何事でも自分が熱中できることであれば次第にモノになっていくという意味合いのことわざであることは皆さんもご存知のことだと思います。僕自身、自分の稼業である歯医者に関してはそのことを思うのですが、何度も講義を担当していると、講義に関しても思うようになりました。自分が楽しまなければ講義はできないと。
今の僕にとって講義とは一種の自己満足になってきつつあります。自己満足の講義が学生にどのように伝わっているかわかりませんが、少なくとも僕がつまらないと思いながら講義をするよりは、楽しんで講義をしている方が講義を聴く側に何か違ったものが伝わらないだろうか?
自分の講義に100点満点を与えることができないのは言うまでもないことですし、教師を生業としているプロの方からすればお叱りを受けるかもしれません。もっと適切な教え方があるのかもしれませんが、僕はいろいろと試行錯誤しながらも自分で楽しく思っていることが少しでも講義で伝わり、若い学生たちの知識となり、経験となっていくことができればなあと感じる、今日この頃です。
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