歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年03月31日(月) 4月1日 医療機関は混雑します

早いもので今日で弥生3月が終わり、明日から卯月4月が始まります。4月は年度初めでもありますから、新聞を見ていますと、様々なことに変更があるということが記されています。

医療機関においては今年の4月は2年に1度の医療保険改定が行われます。その最たるものは何と言っても後期高齢者医療保険制度の創設でしょう。75歳以上の人は新たに創設された医療制度に必ず入らないといけません。これまで扶養者家族扱いだった75歳以上の方も例外ではなく、全ての75歳以上の方は後期高齢者保険に入らないといけないのです。
後期高齢者医療保険制度の最大の問題は、何といっても75歳以上の高齢者が応分の保険金を支払わないといけないことでしょう。75歳以上の高齢者といえば、残りわずかな余生を生きている人生の先輩です。そのような方に対し、保険料を支払えというのは如何なものかと僕は思うのですが、高齢者にかかる医療費が毎年高騰していくなか、厚生労働省が作り出した後期高齢者医療保険制度がどうなるのか?誰も先行きは見えていません。

我々歯医者にとってもいろいろと議論がある医療保険改定ではあるのですが、少なくとも言えることは、4月1日を境に前日まで把握していた医療保険に関することが大きく変わるということです。
何を今更当たり前のことを書くのだ?と思われる方も多いことでしょう。突然変更される変化に対して柔軟に直ぐに対応できるのであればいいのですが、歯医者も人間です。突然の変更、変化に対して戸惑いがあるものなのです。
また、一般の方にはわかりにくいでしょうが、医療保険には定められた条文に対し独特の微妙な解釈がいくつもあるものです。非常に抽象的な表現の条文がいくつもあり、これらは、逐次厚生労働省の担当者に問い合わせをしながら解決していかなくてはいけないのです。おそらく、この変更に対する解釈が通達されるには数ヶ月程度必要かもしれません。

これら戸惑いは多かれ少なかれ診療態勢にも影響します。保険診療の場合、歯医者は一人の患者さんの治療が終われば速やかにカルテを記入しなければなりません。時には患者さんに対して説明用の文書を発行しなければなりません。それぞれの治療行為に与えられた保険点数をカルテに記入しなければなりません。これらは全て医療保険の規則で決められているのですが、医療保険が変わるということは、治療と治療終了後の事務手続きさえ変更になるのです。そのため、医者、歯医者は時には試行錯誤しながらカルテや必要書類を記入しなければなりません。受付では医療保険の変更を踏まえて処理を行わなくてはなりません。
もちろん、これら医療保険の変更に対しては事前に厚生労働省から説明があり、地域の歯科医師会や保険医協会などの組織を通じ、医者、歯医者に通知がいくのですが、事前とはいっても3月後半になってからです。4月1日までの残されたわずかな時間を使って変更点を理解し、実行していくには無理なところがあるのです。

残念なことながら、そのしわ寄せは患者さんに行かざるをえないのです。いつも以上に受付での手続きが手間取ることになります。一日の時間をやりくりして医療機関を受診した患者さんにとっては何ともストレスが溜まる思いをされることがあるかもしれませんが、医療機関もそれなりに必死で新しい医療保険制度に慣れようとしています。おそらく医療機関がそれなりに改定された医療保険制度に慣れてくるには4月一杯かかるかもしれません。

4月1日に医療機関を受診される方は、どうかこの点を含んで頂きたいと思います。


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