歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年01月30日(水) 新刊本が既に時代遅れ?

昨日、某歯科業界雑誌を見ているとある新刊本の宣伝が書いてありました。この新刊本は著者がアメリカ人で原語は英語です。この度、原本の和訳本が新しく完成し、新刊本として売り出されたということで某歯科業界雑誌に大々的に宣伝されていたのです。

この新刊本はA4版で2色刷、1200ページ弱にもわたるぶ厚い新刊本なのですが、歯科業界では、世界中で読まれているという定本ともいうべき本です。定価は31500円。専門書と呼ばれる本は雑誌や単行本、文庫本などと異なり発行部数が限られています。そのため、どうしても単価が高くなる傾向があるのですが、外国語で書かれた原本の訳本は更に単価が高くなる傾向があるようです。

僕はこの本に書かれてある内容の多くが非常に興味を引く内容だったため、高くても購入してみようかなあと思ったのですが、念のためにあることを調べてみました。それは、新刊本の原本の値段です。新刊本の原本は英語で書かれていますが、実際にどれくらい和訳本と差があるのだろうと思い、アマゾンで調べてみると、値段の差は歴然でした。原本の値段は日本円に換算して9500円余り。今回、出版された和訳本のほぼ3分の1の値段です。しかも、驚くべきことがありました。新刊本として売り出された和訳本は英語の原本の第9版の和訳だったのですが、アマゾンで調べた原本は第10版。何と日本で新刊本として売りに出されている和訳本は旧版であり、英語で書かれた原本は既に新しく改定された版だったのです。
これは一体何を意味するか?原本の和訳を行っている間に、原本の方も改訂作業が進んだ。その結果、原本の和訳が完成し、書籍化した時には既に原本の内容は一歩先を、新しい内容に変わっていたのです。

このようなことは和訳本ではちょくちょくあるようですが、それにしても、新刊本として売り出されている本の原本が既にリニューアルされ、しかも、値段に3倍もの差がある。一体何のための和訳新刊本なのかと思いたくなります。

英語で書かれたものを読むことは僕にとって相当のストレスではあるのですが、新刊本と比べ、内容が新しく値段も3分の1であるなら、やはり英語の原本を購入した方がいいかもしれません。
出版社が販売する書籍のキャッチコピーだけを見ていると、最先端のことが書かれてあるように思いがちですが、既に時代遅れになっているというものもあるという事実。改めて広告だけを全面的に信用するのは危ないことだと感じた、歯医者そうさんでした。


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