2007年10月27日(土) |
真の実力は実戦の中でしか得ることができない |
プロ野球選手でアメリカ大リーグシアトルマリナーズに所属するイチロー選手がかつてインタビューで言っていたことに下のようなことがありました。
かつて自分はピッチングマシーンを相手に打撃練習に励んでいた時期があったが、ある時ふと気が付いた。それはピッチングマシーンを相手に打撃を練習していても意味が無いということ。なぜなら、実戦ではピッチャーは人間であり、彼らの投げるボールは1球として同じものは無い。ピッチャーの投げる球は生きておりいろんなバリエーションがある。同じストレートの球でも急速も違えばコースも違う。カーブやスライダー、フォークボール、チェンジアップ等々の多種多様な球種を考えると、無限と言っていいほどいろんなボールが来る。それらに対応し、ヒットを打とうとするには、ピッチングマシーンでいくら練習を積んでいても意味が無い。実戦でピッチャーを相手に対応するしかない。
僕自身、非常に理解できることです。イチローは決してピッチングマシーンの練習が全く無駄であることは言ってはいないと思います。ある程度の基礎を築きあげるまは、ピッチングマシーンの練習は有効ではあるのですが、野球の試合の実戦においては、様々な状況があるわけで、その状況に如何に対応した柔軟な打撃をする必要を強く説いていると思うのです。 このことは僕の実戦である日頃の歯科臨床においても同じことが言えます。歯科医師として歯科治療の基礎的な知識、技術、経験は当然のことながら必要です。ところが、実際の患者さんは一人として同じ患者さんはありません。人間の顔が同じ顔がないのと同じように患者さんの症状も千差万別です。それらに如何に対応し、適切な処置を施すか?これはひとえに教科書を学んだだけでは対応できないのです。実際に患者さんに接し、治療を施し、結果を見ることで初めて経験し、歯科治療を体得できるものなのです。 このようなことを書くと、患者さんは人体実験ではないと批判を受けそうですが、もちろん、全く医学的な知識、技術がないなかで患者さんの治療をすればそれは人体実験であるという批判を受けることになるでしょう。けれども、実際の患者さんの症状を診査、診断して治療を行うことは日々、新鮮な驚きの連続でもあります。歯医者が思ってもみなかったことに遭遇するケースもあるのです。そうしたケースを驚くだけでは意味がありません。これまで自分が培った知識、技術、経験を駆使して、如何に乗り切るかが重要であり、そうして乗り切った蓄積こそが歯医者としての真の実力となってくるものなのです。
真の実力は実戦の中でしか得ることができない。これはどんな職業でも言えることですね。
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