「そうさん、広告を出してもらえませんか?」
発言の主はNさん。Nさんとは僕が週1回練習に通っている某アマチュアオーケストラの事務局の方です。
来る9月の敬老の日、僕が所属するアマチュアオーケストラの定期演奏会が開催される予定で、現在、練習も追い込みの段階。先週末は一晩泊まりの合宿があったのですが、演奏の練習だけでなく、事務方の仕事も佳境に入ってきています。中でも、演奏会当日に配布するプログラムもそろそろ原稿を整え、印刷の段階に入っているのですが、最後の段階になって問題が生じてきたというのです。それは、プログラムが記載されたパンフレットの最後に掲載する広告が集まっていないというのです。 どこのアマチュアオーケストラの定期演奏会でも言えることですが、演奏会当日にお客さんに配布するパンフレットには日頃付き合いのある業者の方が好意で広告料を提供し、広告を掲載しているものです。僕が参加している某アマチュアオーケストラもそうだったのですが、今年、これまで付き合いのあった某会社の方から広告料の提供を受けられなくなったとのこと。そのため、パンフレットの広告スペースに空きが生じたのだとか。時間に余裕が無いことから、団員である僕に僕の歯科医院の広告を掲載できないか、問い合わせがあったというわけです。
これまで、うちの歯科医院は広告を出したことが一度もありません。開業して30年近くが経過していますが、“患者さんは丁寧な治療の積み重ねによる信頼で着て頂くもの”という親父のモットーから広告は出していませんでした。僕も親父の考えに賛成で、自分の歯科医院の広告を出さないかという依頼はあっても、これまで一度も広告を出したことがありませんでした。
そんな過去があっての今回の広告依頼だったわけですが、結論を書きますと、僕はうちの歯科医院の広告を初めて出すことにしました。理由は、日頃世話になっている某アマチュアオーケストラに対する恩返し的な意味合いからです。これまでお願いしていた、付き合いのあった会社から広告を断られたというのは、それほど景気がよくなっていない証拠でもあります。景気は上向きとは言っても、地場産業や中小企業などの多くは日々の経営に四苦八苦しているところが多いはず。少しでも無駄な出費は避けたいのが本音です。おそらく、今回某アマチュアオーケストラの広告の依頼を断った会社もそんな会社の一つだったと思います。 パンフレットの製作時間にタイムリミットがあり、思ったように広告が集まらない実情。そして、日頃クラシック音楽を楽しむために演奏の場を与えてもらっている某アマチュアオーケストラに対する義理を考えると、ここは一肌ぬいでもいいのではないかと考え、僕はうちの歯科医院の広告を出すことに同意したのです。
今日、うちの歯科医院の広告を出すための原稿の確認、打ち合わせがあります。練習の合間に行われるわけですが、果たして一体どんな広告になることか?そうさん歯科医院開業以来、初めての広告。自分でも興味津々です。
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