歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2007年07月25日(水) 付け届けは賞味期限切れ

歯医者家業をしていると、時折患者さんから付け届けをもらう時があります。患者さんは自分が受けた治療に対する治療費を支払う義務がありますが、時として治療費を支払う以外に何らかの付け届けを持って来られる場合があるのです。

「先生、つまらないものですが、家族で召し上がってください。」
と僕に直接手渡す患者さんもあれば、受付で託けてくれる場合もあります。
僕はこれら付け届けは有難く頂戴することにしています。付け届けのある無しで患者さんに対する治療が変るか言われると、それはありません。どんな患者さんでも僕は同じ診療姿勢で治療に臨んでいるつもりです。
ただ、患者さんが治療費以外に何らかの付け届けを持って来られるということは、僕の治療に対しそれなりの気持ちを表しているものと思うのです。一種の好意だと思うのです。その好意を無下に断るということは、僕は忍びなく思うのです。

かつて、僕は某公立病院に勤務していたことがありましたが、その時は、僕は患者さんからの付け届けは辞退していました。その理由は僕が公務員であったからです。当時の僕は、人様の血税で成り立っている病院の医員でした。公僕の僕の一員であった僕は、病院から頂く給料以外に受け取ることは遠慮していたのです。
今仕事をしている歯科医院は、公立の病院ではありません。零細ではありますが、僕個人が経営をしている歯科医院です。患者さんから頂く付け届けに対しては、一種の僕に対する評価でもあると思い、有難く頂戴するのがいいのではないかと考えています。かつて、僕は付け届けを受け取ることを悩んでいたこともありましたが、今では割り切って付け届けを頂くようにしています。

それでは、頂いた付け届けはどうするか?基本的に付け届けは食料品ですので、家族の分とスタッフにお裾分けするようにしています。付け届けは僕宛ということではあるのですが、僕だけで独り占めするわけではありません。僕が歯科医院を代表して受け取るという意識の元、家族とスタッフに分けているわけです。

そんな付け届けですが、先日、僕はある患者さんから頂きました。

「これは貰い物ですが、よかったらご賞味下さい。」

僕はいつものように頭を下げ、お礼を言い受け取りました。
診療終了後、付け届けを開封させてもらいました。品物にはある紙が貼ってありました。
紙の上には下のような文字がかいてありました。

お中元   ○○

○○というのは付け届けを下さった患者さんの名前ではありませんでした。“貰い物”という言葉のとおり、患者さんが他の人から頂いたお中元をそのまま僕に持ってきたのでしょう。

“本当に貰い物だったなあ”と思いながらも中を確認すると、中身は明太子でした。明太子は僕の好物の一つでもあります。
“食事の際、これでご飯が進むなあ”と思いながら何気なく明太子のパッケージを見た僕は思わずある表記に目が行きました。その表記とは賞味期限。

賞味期限 平成19年○月○○日

付け届けを頂いた日は、賞味期限から一週間以上過ぎていました。

う〜ん・・・・・・・・・・・・・・。

このような場合、どのように考えればいいのでしょう?
患者さんに悪気があるようには思えないのですが、昨今の食べ物の品質管理問題を考えると正直言って、僕は頂いた明太子を生で食べる自信はありません。スタッフに御裾分けするというのは論外です。結局、明太子は焼いて食べるしかないのかな?

何とも複雑な気持ちになってしまった、歯医者そうさん。

皆さん、何か付け届けをする場合、賞味期限には充分に注意しましょう。必要以上に頂いた人を悩ませることは失礼に当たりますからね。


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