2007年05月15日(火) |
プロが見分ける繁盛歯科医院の見分け方の一例 |
よく捕物帳のような江戸時代の小説を読んでいると、目星をつけた容疑者やその関係者と思われる人たちを見張っている密偵の話が出てきます。この手の小説には、犯人の身柄を確保するためには、逮捕に至るまでの事細かな過程が書かれているものですが、密偵の活躍は思わず手に握ってしまうことが多いものです。 密偵は、容疑者や関係者を尾行する場合が多いのですが、それだけでなくどんな輩が出入りしているかアジトや住まいを見張っている場面があるものです。 この見張りの場面でしばしば出てくるのが洗濯物を観察する様子です。どんな洗濯物を干しているか、誰が洗濯物を干すかなどをみることにより、アジトや住まいの人員構成や生活の様子を垣間見ることできる。そのことが即事件解決には至らないものの、犯人をめぐる人間関係や生活の様子を探ることにより、事件解決の糸口になるようなものを見る事ができるということです。
先日、ある歯科関係の業者の人から聞いた話ですが、どんな歯科医院が繁盛しているか見分け方があるという話を聴きました。歯科医院を直接訪問すれば、そのようなことはある程度わかるかもしれないのですが、直接歯科医院を訪問しなくても、あることを基準に見ていけば歯科医院が繁盛しているかどうかがわかるというのです。一般の方からすると想像もつかないその基準の一つに、歯科医院が注文する石膏の注文量だというのです。
患者さんの治療計画を立てる際、上下の歯の歯型を取り、模型を作ります。患者さんの口の中を診ればある程度の現状は把握できるものではあるのですが、模型を作ることにより、違った視点、目線で患者さんの現状をより客観的に分析、診査、診断することができます。 また、 歯科医院では患者さんの詰め物、被せ歯、差し歯、入れ歯などを作る際、必ずといっていいほど歯型を取ります。歯型を取った後は、歯型に石膏を流し込み、模型を作ります。患者さんの詰め物、被せ歯、差し歯、入れ歯はこの模型を元に作っていくわけですが、患者さんの数が多いと自ずと石膏の使用量が増えるというのです。 患者さんはいろいろな患者さんがいます。何も詰め物、被せ歯、差し歯、入れ歯を必要とする患者さんだけが来院するわけではありません。歯の悪くない人は歯磨き指導だけ、歯石を除去するだけの方もいます。また、抜歯だけの患者さんの場合も石膏は関係ないことでしょう。ただ、こういった患者さんは多くの歯科医院では少数であり、経営のことを考えると、どうしても詰め物、被せ歯、差し歯、入れ歯を作り、セットすることで儲けを確保しないといけないのが厳しい現実です。その際、どうしても避けられないのが石膏を用いた模型作りなのです。
ところで、歯科医院で使用する石膏といっても一種類だけではありません。用途の応じて大きく分けて三種類の石膏が使われています。普通石膏、硬石膏、超硬石膏の三種類です。それぞれ石膏の硬さによって分類されているのですが、概ね、診断用には柔らかく、廉価な普通石膏を、被せ歯や差し歯、入れ歯といった補綴物と呼ばれるものの製作用には硬めの硬石膏、超硬石膏を用いるものなのです。
話を元に戻しまして 歯科医院には出入りの歯科材料店の担当者がいるものです。そうした歯科材料店の担当者は、逐一自分が担当している歯科医院で必要としている歯科材料をチェックしていますが、その中でも石膏の注文量をチェックすることで、自分が担当している歯科医院が繁盛しているのか、していないのかが自ずと見えてくるというのです。歯科材料店の担当者は顧客である歯科医院の院長には他の歯科医院と比較するようなことは言わないものですが、実際のところは歯科医院の繁盛具合を見つめているとのこと。その目安の一つが石膏の使用量。それは、まるで密偵が目星をつけた犯人や犯人関係者の住まいの洗濯物を見て、彼ら、彼女らの生活環境を憶測するのと同じような感じです。
我が歯科医院でも毎日石膏を使用し、模型を作っていますが、うちの歯科医院に出入りしている歯科材料店の担当者は密かに石膏使用量をチェックしているかもしているでしょうね。
う〜ん。複雑な思いがする歯医者そうさんです。
最後に、告知というわけでもないのですが・・・ 諸事情により明日の日記は更新できないかもしれません。今日の状況次第なのですが、場合によっては明後日以降になる可能性があります。悪しからずご了解下さい。
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