歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年06月29日(木) 葬式だったはずでは・・・

結局のところ、昨日は諸事情により日記をアップすることができませんでした。たまっていたメールやBBSの書き込み、メッセージに対してレスをすることはできたのですが・・・・。

申し訳ありません。ひらにご容赦の程を。

歯科医院を経営している歯医者であれば誰しも悩むことの一つに予約患者さんのキャンセルがあります。事前に連絡がある場合はまだいいのですが、予約日に、しかも、直前になっても何の連絡もなしに患者さんが来院しないというのは対応に苦慮します。単に来院が遅れているだけなのか?それとも、何か事情があって連絡することができずにキャンセルしてしまっているのか?単に予約を忘れてしまっているのか?次の時間帯の予約の患者さんとの兼ね合いを探りながら予約の調整をするのは思っている以上に大変です。これら予約患者さんの日程調整、管理は受付の仕事なのですが、急患の患者さんの対応も含め、受付の仕事はなかなかに難しい仕事であることが言えます。

うちの歯科医院では、予約時間になっても来院しない患者さんに対して、必ず電話で確認するようにしています。予約時間を過ぎても来院する意思があるのか確かめたり、前後の予約患者の状態によっては別の日に予約変更をお願いすることもあります。

先日も朝一番の予約の患者Hさんが来院しませんでした。うちの診療所の受付さんは早速Hさん宅へ電話を入れたところ、どうしても来院することができないと返事があったとのこと。その訳は何でも近所で急に葬式が入り、葬式の手伝いをしなければならなくなったのだったとか。Hさんの住んでいるところはうちの周囲と同様、昔ながらの隣保制度が存続している所で、近所で不幸があった場合、近所同士が手伝い、葬式を行う習慣があるのです。不幸というもの、誰もいつ起こるか予想もつかないもの。Hさんが予約時間になっても姿を現さなかったのも仕方が無いことだなあと思いながら、次の患者さんを待たざるをえませんでした。

その日の午後のことでした。Yさんという患者さんが来院されました。Yさんは長年うちの診療所に通って来られている患者さんの一人なのですが、何気なしにYさんのカルテを見てみると、Yさんのお住まいは朝一番にキャンセルをしたHさんの近所だったのです。僕は何気なくYさんに尋ねてみました。

「Yさんのご近所で何か不幸事でもありませんでした?」

Yさん曰く

「何ですか、それは?そんなもの、最近ありませんで。」

僕はなるほどと思いました。Hさんはキャンセルの理由を偽っていたのです。

おそらくHさんはうちの診療所の朝一番の予約をすっかり忘れてしまっていたのです。いつもどおり朝の時間帯を過ごしているとうちの診療所からの予約確認の電話で予約のことを思い出したのでしょう。そこで、とっさに口から”近所で葬式が入った”とうそを言ってしまったものだと思われました。葬式は誰も予想がつかない時に起こるもの。ドタキャンの理由としては説得力のあり、自分の不始末をごまかせるものでもあったので思わず口からでまかせを言ってしまったのだと思いました。

それにしても、自分が言った葬式がものの見事に近所の人によってうそがばれてしまうとは、さすがのHさんも予想がつかなかったことだと思います。

まあ、それほど害のないうそだけに、とやかく口やかましく言う必要もありません。自分ではうまくごまかしていたつもりでも、思わぬところから綻びは出るものだなあと改めて感じた、歯医者そうさんでした。


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