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2023年09月04日(月) |
ピカピカピカチュウの新入生 |
はじめての通学の日。日本の小さな子の通学姿が可愛いくて、安全のためにもと黄色いにこだわって帽子を探したら、ピカチュウになった。自分は好まないアニメとかのキャラクターでも子供が持つとなんでこんなに可愛いのか。みんなにカワイイね!と言われるから当人もお気に入りの様子。
学校では4つのクラスにわけられて、既に顔見知りのお友達とは誰も同じクラスにならなかった。担任は若い女の先生ですごく優しそうな人で安心した。年度の区切りギリギリで生まれて3歳に満たないまま学校に通うことになってしまったロクちゃんは、おそらくクラスで一番小さく、また言語的にも遅れをとってる子だからか、先生は目をかけてくれてるみたいだ。初日だけ保護者も教室に入れた。
「バイバイね。ママとパパは後で迎えにくるからね」
と言ったら、電車で遊んでて無反応。教室のドアを閉める間際に咄嗟に立ちあがってパパ!!ママ!!!と追いかけてきたけど、心を鬼にしてドアを閉めた。1分待ってこっそり教室を覗いたら、何事もなかったように電車で遊んでた。泣かなかったことはわたしを少し安心させたけど、自分のほうが辛くて、涙ぐみながら学校からの坂道を下った。ひとりで歩くと身軽で身軽で、重い重い荷をやっと下ろしたようだった。でもなんだか寂しいな。
初日は朝の2時間で終わり。家に帰ったって、家事など捗りそうな心境ではなかった。学校の下にあるカフェで本でも読んで時間をつぶして迎えに行くことにした。少し気持ちがアップするかとカフェにいつもは入れない砂糖を入れてみる。バッグの中にあったロクちゃんの帽子をお守りにテーブルに出して気配を思い出してみる。ロクちゃんの学校がはじまったら、この2年半ほとんどできなかった読書をもっとしようと思ってた。わたしだって一度は子供だったんだから、自分の気持ちとか母がしてくれたこと思い出して育てればいい、育児なんて本で読んで勉強するようなもんじゃないとは思っていたけど、たまたま見つけた「臨床心理士と精神科医の夫婦が子育てで大事なこと全部まとめてみました」は良書。なるほど、なるほど、あんな風に接したからこうなっちゃったのかとか、科学的根拠も交えて説明されてて納得することばかり。読みながらクッキーをばりばり食べる。甘いものに気持ちを助けられた朝だった。
迎えにいくと、先生に手をひかれたロクちゃんがでてきた。パンツが変わってた。あぁ、やっぱりトイレに行けなかったのか。手を繋いでまた坂を下る。どうだった?楽しかった?友達できた?泣かなかった?質問攻め。
「ママ!ママ!って呼んだよ」
彼から得た回答はそれだけだった。そして、家に帰ると突然"De l'eau(水)"としっかり発音したのだった。先生が何度も言ったんだろう。これからこうやって毎日毎日彼は新しい言葉を覚えてくるのだろう。