My life as a cat
My life as a cat
DiaryINDEXpastwill


2020年12月15日(火) コート・ダジュールの家探し

不動産屋に出向いたり、お金のシュミレーションをしたり、物件を見に行ったり、家の購入に本腰を入れはじめたものの、まだまだ時間がかかりそうな予感。わたし達が求めている暮らし、または身の丈と住んでる地域がちぐはぐというのがもっぱらの理由。

わたし達の条件
●庭付き一軒家
●車を持たずに暮らせる(パブリックトランスポートと子供の学校まで徒歩で行ける)
●プールなし
●(できれば)ガレージなし
●日当たり、立地(この辺りは大雨で生命の危機にさらされるようなレッドゾーンが多々ある)問題なし

そんなにワガママじゃないと思うが、これがここでは本当に難しい。まずもって一軒家(Maison)がそんなに沢山ない。そして少ない一軒家の大方がハリウッドスターか、という大きな敷地と不要な沢山の寝室があり、プールやジャグジーも付いてる。そして価格もすごい。モナコが近いという土地柄、地元の人は"モナコの金持ちがこの辺りの土地の値段を引き上げた"と口を揃える。車のメンテナンスも面倒だと考えるわたし達がプールのメンテナンスなどしたいはずもなく、だいたい美しいビーチがすぐ近くにあるのに家のプールなど入らないだろうし、これだけは本当に要らないな。ガレージは不要だが、あれば賃貸にして収入を得るという手もある。そして家も庭も極小さなものがいい。この辺りでは金持ちの部類じゃなくても大きな家に住んでる人は大抵自力で掃除が出来なくて人を雇ってる。自分の手が行き届かないということは、すなわち自分の生活に必要じゃないスペースを所有してるということで、わたし達にとってはただの無駄だ。そんな中、すぐ隣に条件を全て満たした家が売りに出された。スウェーデン人のカップルが夏を過ごす為のセカンドハウスとして使っていたのだが、奥さんが病気になり家も売りに出された。家も庭も大きすぎず、暖炉があり、木のぬくもりに満ちた家。ひと目で気に入って、見学して即購入を決めたのだが、先約があった(不動産屋はいつも保険をかけるように売れてもお金が支払われるまでは人に紹介し続けてるんだろう)。がっかり。また振り出しに戻ってしまった。アパルトマンならそう難しくなさそうだけど、やっぱり地に足をつけたいんだよなぁ。

これを母に話したところ、

「そういえばね、うちの後ろの後ろの家の夫婦も亡くなってまた空き家になったの。また親族が放置してて、そのうち"買わないか?"って言われそう。そしたら家を壊して更地になってからなら買ってもいい(土地なら購入してもいいが、家は不要で、それを壊すにもけっこうなお金がかかるそうだ)って言うつもりなんだ」

となんとも贅沢な話をする。両親は数年前後ろの家の夫婦が亡くなって、親族が持て余していた土地を二束三文のような金額で購入したばかり。そこにあれこれ果物の木を植えたり、野菜を作ったりして結構楽しんでいるらしい。この地球上にはこんな誰も欲しがらず放置されてる土地も存在するのに、わたし達が暮らしてるところといったら鬼のような競争率。だけど、リュカはここに仕事があるし、わたしは何より歩いてでもイタリアへ入れるのが気に入ってるし、気長に探すしかなさそうだ。

----------------------------

大きなカルフールに買い物に行った。レジはざっとみたところ50レーンくらいある。電車の時間があって少し急いでいた。最初は普通のレーンに並んでいたが、動きが鈍い。じりじりしながらふと横を見ると妊婦優先レーンというのが目に入った。妊婦優先というものはなんとなく気がとがめて一度も使ったことがなかった。しかし一瞬行ってみるか?と考えた。だが、列を見ると明らかにただ太ってる女性達がそこに並んでいた。リュカと苦笑しながら諦めた。ところがその更に隣の10レーンくらいはなんと医療従事者専用レーンと書かれているではないか。明らかに普通のレーンより空いている。コロナ渦で医療従事する人々に対する慰労の印なのだろう。リュカのプロフェッショナルカードを提示すれば通れる。しかし、、、リュカは仕事柄コロナ患者とは関わることはない。やっぱりちょっと気が咎めたが、電車の時間が迫ってきて、結局そこで会計を済ませてしまった。こういうのって複雑。先日レジに並んでたら車椅子に乗せた子供をひいた母親が、身体障害者カードをかざしてわたしの前に割り込んできた。

「みなさん先に行かせてね。ほらこれ持ってるから」

列に並んでる人は誰も返事をしなかった。その母親は当然のようにわたしの前に入り、お金を払う時にわたしのお腹を一瞥して子供の車椅子を押して去っていった。明らかにお腹がせりだしてから、あらゆる場所で"先にどうぞ"と譲ってくれる人々がいる。そういう時はお礼を述べて有り難く受け取ることにしてる。でも、逆に健康で働いてる人のことも考える。自分でちゃんと体を管理して、健康を保って、よく働いて、さぁ夕飯の食料を買って家に帰ろうかという頃には、妊婦のわたしより疲れ果ててるんじゃないかと。それに妊婦こそ体力をつけなければ子供なんて産めやしない。そう思ってなるべく自分の体を甘えさせないようにしてきた。しかし、この国は弱者に手厚く、一度その立場にたったら、最大限それに頼って、そこから抜け出そうとはしない人が多々いる。こういう社会は一見優しいようにも見えて、弱者をその域から救いだすことはしなくて、彼らが社会から諦められ、隔絶された存在のように見えてしまう。

夜になると具合が悪くなるから、電車に間に合って早く家に到着できたことはよかったが、やっぱりできればこういう恩恵に慣れてしまわない身でいたい。


Michelina |MAIL