My life as a cat
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2020年07月30日(木) 夫の意外な顔

生活の細かなことを決めるのはいつもわたしだ。休日どこへ行くのか、どこのレストランで食べるのか、どの家電を買うのか。リュカには大した意見がなくてわたしの決定にただ黙って着いてくるだけ。たまには"俺に任せろ"みたいな頼もしさを期待するが、そういうものは見たことがなかった。

ところが、驚いたことに、子供についてのあれこれになると、これが常に明確な意見を持っているのだった。結婚したら今度は"子供は欲しいのか"と周囲に聞かれる。わたしはいつも言葉に詰まった。

「うーん、子供か。どうかな、、、」

ところが彼はクリアだった。

「子供欲しいな。一人っ子は将来寂しいかもしれないから二人いたらいいな」

彼は滅多にこんなクリアな意見を主張することのないおとなしい人間なんで驚いた。そして自分は子供が欲しいのかと再度考えてみたが、やはり大して何のアイデアも浮かばずこんな結論に至った。わたしはこの件に大して意見がないので、意見のある人に従うべき。

「子供いても別にいいよ」

わたしが彼に言えたのはその程度のことだった。

更に妊娠してから胎児のダウン症の確率を調べる検査でひっかかった時(結局これはほぼ心配要らないという結論になったのだが)、不安になって聞いた。

「もしダウン症の確率がすごく高かったらどうするの?」

これまた驚いたことに彼はクリアな意見を口にした。

「その時は中断する。親はどんな子供だって産まれてきて欲しいと思うものだけど、障害を持って生まれて痛みの多い人生を約束された子なんて可哀そうだもん」

わたしはただ狼狽えているばかりだったから、彼の意見に従えばいいという救いを得た。

テレビドラマを見ていた。母体か胎児かどちらかしか救えないという状況で周囲の人間が選択を迫られていた。

「あなたがこういう選択を迫られたらどうする?」

そう聞いてみたらまたもや即答。

「母体を助ける。母が子なしより子が母なしのほうがきついもん。それに僕は子供が欲しくて君と結婚したんじゃなくて、君と一緒に生きていくために結婚したんだから」

人って思い入れの強いものに対してはちゃんとしっかりした意見が形成されるものなんだな。

「イタリアン?それともフレンチ?」

「う〜ん、どっちでもいい」

「麺?米?」

「う〜ん、どっちでもいい」

優柔不断とばかり思っていた夫がただわたしに着いてくる時、それは単にそこにさほど興味がないだけだったのだろう。


ここへ来てはじめて白いちじくを食べた時は衝撃的だった。すっきりした味の蜂蜜を食べてるみたい。いちじくは外見で瑞々しそうな濡れた感じのものを選ぶ。皮が乾燥して見えるものは中もふかふかで美味しくない。ここではいちじくはNoirとBlancの2種類でNoirは日本でもよく見るもの。これも十分美味しいがわたしは断然Blancのほうが好みだ。


Michelina |MAIL