My life as a cat
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2019年11月20日(水) 手の届く範囲で暮らす

マルシェでこの小さな手のひらサイズの梨を見かけると買わずにいられない。知る中でもっとも簡単でいて、絶品な一皿、梨のワイン煮を作る。この梨はこの料理用なのだろうか、身が固くて、煮ても簡単にはくったりとせず、ほどよい歯ごたえが残る。逆に言えば他の大きな梨のようなクリーミーな食感はなくて生ではいまいち。梨のワイン煮といえば大抵赤ワインみたいだけど、わたしは白ワインのほうが好き。半分に切ったら安い白ワインをどぼどぼっと注いで蓋をして中強火で10分〜15分煮るだけ。沢山作っておいて毎食前菜に添えてる。

フランス、イタリア、スペインでも菜食主義は若者を中心に人々の中に溶け込んできているみたいだ。わたしが肉を食べることをやめた時には、特殊な人にでもなったような扱いを受けることも多々あったが、今では誰も反応しないし、どこへ行っても同じダイエットで暮らす人に会う。20年以上経って変わったのは周囲だけではない。自分の肉食に対する意識だ。以前はもっとヒステリックで、殺されるための命を生み出すなんて間違ってると強い正義感を握りしめていた。今でもその考えは変わらないけど、時と共に意識はもっと自然な形で菜食という選択を受け入れるようになった。庭で野菜を作りながら思う。壮大な畑で遺伝子組み換えで作られたとうもろこしや大豆を更に壮大な土地に放された家畜に与えて、それを壮大な工場で加工して、肉屋に卸され、パックに詰められ、人々の家庭にくる。膨大な水とエネルギー、化学薬品が使われ、多くの人の手に渡る。こんなものを口に入れ続けることは単純に無理なのだ。遊牧民が野生のバッファローを狩って食べるのとは全く違う。いつからかわたしの意識は「肉食しない」というよりも「自分の手でプロセスできる範囲のもので暮らす」というように変わった。庭ではこぼれ種でハーブや野菜が育つ。化学薬品も、農薬も、壮大な土地も大量の水もプロセスする工場も流通に使うトラックも要らない。菜食主義はただの流行には終わらないだろう、と思う。もう人々は無理することが体に悪いと知っている。


Michelina |MAIL