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子供の頃から聞かれる。"将来何になりたい?"。大人になって自分のしたいことが見つからない。自分の居場所も見つからない。"自分探しの旅"にでる。視野は広がったけど、余計やりたいことがわからなくなる。なんとなく縁あって就いた職をこなしながら年をとっていくけど、専門職でないし、手に職が欲しいと考える。もう一度学生に戻って夜な夜な勉学に励んだり資格の取得に努めたりする。
これは半分自分の話でもあり、半分周囲の友人・知人の話でもある。
でも大して他人とも関わらず、"食べる"ためだけに山を歩き、果実を摘み、木の実を拾い、野菜を育てて、住処を磨き、衣服を繕うだけで過ぎていくような日々の中でふと思う。"何者か"である必要なんてあるんだろうか。名乗れる職業が必要なのか。誰にそう教えられたのだろうか。社会?健やかに呼吸してて、美味しいものを食べられて、好きな人といて笑っていられたら(自分ひとりでも笑っていられたら)、人はそれで充分なのではないか。人間はいつも社会の中で自分の役割を見つけようともがき続けたり、欲張って戦争をしたりするけど、ある意味での"向上心"が悪い方向に作用すると人は不幸だ。何者でもない自分でいい。わたしはこれで毎日幸せなんだ。
夏の海水浴、秋の山歩きとずっと筋肉を酷使していたせいか、夜になるとたびたび熱がでて節々が痛くなったりする。若いつもりでも体はやっぱり10代のようにはいかないのだ。睡眠に勝る薬はなし。ひたすら眠る。そして目を覚まして、突然脳裏にこんな考えが浮かび上がったのだった。