My life as a cat DiaryINDEX|past|will
ビーチで恋に堕ちる。あの人は人魚だったのかもしれない。人魚といったら美しい女性を真っ先に思い浮かべる人が多いのだろうが、その人は男性でもそれはそれは美しい雰囲気だったのだ。夕暮れ時いつもと違うビーチへ繰り出した。国境をほんの数メートル超えたイタリアのビーチ。友人が"Rock"と呼ぶこのビーチは岩がごつごつ。みんなオットセイのごとく岩の上にごろごろと寝転がって、気が向くとそのまま水にジャンプしている。水にジャンプして入るのはいいが、水から上がる時がなかなか難しい。うまくどこかに手をひっかけてよじ登ろうにも足をひっかける場所もぬるぬると滑る。一度目はなんとかひとりでよじ登った。そして二度目。前にダイビング・スーツを着た男性がいて、彼がよじ登るのを背後で待っていた。なんとかやっとよじ登ったその男性がこちらを振り向いて、にこりと笑いながらわたしに手を差し出したのだ。すっとした目鼻立ちで細身の長身。彼の背後に夕陽があって、彼の長めの髪が金色に照らされて輝いていた。岩の上にかがんで手を差し出す彼の姿があまりにも美しくて、一瞬くらりとして、そのまま水に潜ってしまいそうになった。手を掴んでひょいっとひっぱってもらうと、簡単に水から上がることができた。
Michelina
|MAIL
|