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2月とは思えない穏やかで暖かい午後。リュカとランチを食べた後、ひとりでニースへ出かける。いつもニースへ出るときは探しものがあったり、買わなきゃならないものがあったりで忙しい。今日はそんなのは一切なしの主婦の休暇日。そう決めてきた。あてもなくぶらぶらとお店を見て歩く。洋服を試着して、雑貨を眺め、カフェにゆったり座ってケーキを食べる。人の淹れてくれるカフェの美味しいことよ。
夕方、友人と落ち合う。彼女と会うのも本当に久々。そして日本語を話すのも何か月ぶりか。ビュー・ニース(Vieux Nice)のフィッシンチップスのお店に入って、夜遅くまでお喋りに耽った。一年間湯シャンを続けて髪が赤ちゃんの産毛のような質感になったという話、数年間マクロビ食を続けたら、体重がぐんと落ちたけど、女としての美しさを失ったという話などとても興味深い。マクロビ食を長く続けて年をとった人々は、植物が朽ちていくとき、水分を失ってゆっくり干からびていくのに似ているという意見にはっとした。そういう人、何人か見たことある。
夏は毎日お祭りのように夜遅くまで賑わうニースの街も冬は静か。夜道を彼女の家まで歩いて泊めてもらう。
翌朝、仕事へ出かける彼女が化粧をしていた。あまりにもナチュラルな感じなので、彼女が化粧をしているなんて気付かなかった。それくらいナチュラルに仕上げるのに丁寧に時間を割いているってすごく健気。それだけじゃない。彼女は寝る時だってほどほどに女らしくセクシーなランジェリーを纏っているのだ。彼女が美しい理由が解った。わたしはホンモノのナチュラルでたまに夜出歩く時以外化粧をすることはないからな。ほうじ茶を一緒に飲み、彼女はお弁当を持って仕事に出かけて行った。
ここでは良い人々に囲まれて幸せに暮らしている。人の心の動向にはみんな繊細だから万事良好だけど、生活の細々したことに対してはみんな本当にがさつで、あぁ日本人だったら・・・と恋しく思うこともある。久々に日本人らしい繊細でやわらかな空気感を味わって、気持ちがリセットされた気分。いつまでもここで外国人として生きていく気はない。でも、日本人らしい良いところは強く持ち続けていたい。そんな気付きを得た休暇だった。