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リュカの用事でニース駅の窓口へ。30代後半というくらいの見た目の担当の女性はにこりともせず、むしろ不機嫌な顔で全てに面倒くさそうな顔をする。外は晴天。まだ昼前。何が彼女をこんなにさせるのか。高価そうな素敵なリングやピアスを身につけている。化粧もナチュラルできれいにしている。長い髪もちゃんと整えている。ここまでちゃんと身支度して家をでて職場に着くと、面倒くさそうに猫背で斜めになってカウンターに座る。姿勢が悪いから太っているわけではないのに二十顎になっている。本当にもったいない。この辺りには見た目が悪く生まれついたわけではないのに、内面から出るオーラのせいでイメージを損ねている女の人が多すぎると思う。彼女は義務を課すだけといった感じでリュカの質問に回答するのみで、それ以上の言動はいっさい惜しんでいた。
あるブティックで洋服を買って支払いをしていた時のこと。外から女性がけっそうを変えて走りこんできて店員に訊ねた。
「すみません。試着室に財布を忘れたみたいなんです」
「知らないわ(I don't know)」
女性は試着室に自分で走っていき、結局財布はそこにあったらしかった。冷ややかな店員をちらりと睨んで無言で去って行った。
こんなのってあるだろうか。フランス人だからとかいうまえに人としてどうかと思う。客にべったり媚びない文化だといっても人としての心がどうあるのかと疑ってしまう。わたしが購入したシャツはたたみもせずぐちゃぐちゃに紙袋に突っ込んで渡された。
立居ふるまい、表情の作り方、姿勢で人に与える印象は劇的に変わる。この国で暮らすようになってから、反面教師があまりにも多くて、生まれもった見た目のままで如何に美しく人の目に映るかということを強く意識するようになった。
(写真:わたしの町に夜が訪れる)