My life as a cat
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2018年09月06日(木) パーネ・カラザウ

夏もヴァカンスも8月にぱったり終わり新年度が始まった。朝晩はすっかり涼しくなって、薄いブランケットをもう一枚ベッドに乗せた。夕飯後の散歩にはもう出られない。町からも観光客はぱったり減ってマルシェもカフェも妙に大きな空間に見える。

アトリエも始まった。今週は収穫祭で売り出す料理をせっせと作っている。ネット上にはないこの地域の長老だけが知っているような郷土菓子のレシピなんかもでてきて面白い。しかし、共同で使っているナイフのキレの悪さといったらない。手が疲れて仕方がない。日本ほどナイフであれこれ刻む習慣がないから誰も気にしない。次回から自分のを持参しよう。

クリスティーヌも図書館を開けた。フランス語学習に付き合ってくれるというので、頑張って通う。

ヴァカンスに出ていたこの町の人々も帰ってきた。サルディーニャに家を持っている隣人のドミニクが島からあれこれ持ち帰ってきてくれた。その中にはわたしがリクエストしたパーネ・カラザウ(Pane Carasau)も。サルディーニャの羊飼いが移動しながら食べるのに携帯するパリパリに乾燥させたクラッカーのような薄いパン。

「ただのパンだよ」

と彼は言うが、わたしの頭の中にはいつか読んだこんなストーリーと共にある。ミラノで働くサルディーニャ出身のナースの話。都心で忙しく働いている娘を思って島から母親が送ってくれるこのパンをパリパリと折ってブリキ缶に入れて携帯し、仕事の合間お腹がすいた時、寂しくなった時に食べる。その瞬間に故郷の風景が目の前に広がる・・・というような。

まずはそのまま食べる。粉と塩とオリーブオイルだけでなぜこんなに美味しいのか。いや、素朴だからこそ美味しいのか。次はパーネ・フラッタウ(Pane Frattau)にしてみる。お湯にくぐらせたパーネ・カラザウ、トマト・ソース(ハーブ数種類、にんにく、唐辛子にケッパーも入れた)、パルミジャーノと順番に乗せる。これを3,4枚分繰り返す。最後にポーチドエッグを乗せる。ポーチドエッグが面倒なので温泉卵を作ったのだが、乗せるのを忘れた。でもこれだけで十分美味しいので卵は要らない。ただパーネ・カラザウはお湯にくぐらせずパリパリのまま食べるほうが美味しいという結論に至った。島からやってきた本物を食べてみたので、次回は自分で焼くことに挑戦しよう。


Michelina |MAIL