My life as a cat
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2018年06月03日(日) ある家族の料理の本

勤めていた会社の元CEOが出版した料理の本。彼について知ることは、イタリア系アメリカ人だということだけ。アメリカの料理の本は単位がいまいちピンとこないということを除けば、家族のレシピを親元離れて暮らすようになった二人の娘のためにと書き溜めて出版したというだけあって、簡素で庶民的で使いやすい。今はイタリアとの国境付近に住んでいるからことさら。料理の合間に今まで軽く読み飛ばしていた彼のルーツに関する話をじっくりと読んでぎょっとする。

南イタリアで生まれ育ち、成績も良い真面目な子供だった・・・12歳でラテン語に打ちのめされるまでは。打ちのめされた少年は学校を辞める。"辞める"というのが可能なのか、とにかく通わなくなったということ。そして働き始める。若さだけが頼りの力仕事。給料は1週間で50セント。たまに映画を観るために5セント手元に残して家にお金を入れた。こうして彼の労働人生は12歳で始まったのだが、数年後転機が訪れる。両親に着いてアメリカに移住することになった。英語を学ばなければならなくなり、結局学生に戻った。そしてそのまま大学に進学する。両親は移民の身分で、朝から晩まで働き詰めだったから、勉学の傍ら年下の兄弟の面倒を見なければならなかった。料理はここで始まった・・・。

会社の幹部は、貴族出身みたいな人ばかりだったが、中にはこんな人もいるのだな。もっともこの人の時代では12歳で働いているとか普通だったのかもしれないが、やっぱり自分の生い立ちと比べればすごい、と思う。

イタリアといえば、先日わたしの焼いたケーキを食べたイタリア人からリュカ経由でこんな称賛の言葉をいただいた。

「ねぇ、彼女本当にどこかでイタリアの血入ってない?」

あっぱれ。イタリア人は気が抜けない。


Michelina |MAIL