My life as a cat
My life as a cat
DiaryINDEXpastwill


2018年02月21日(水) マルシェに漂う春のかおり

コートダジュールはバレンタインを過ぎると徐々に春めいてくる、と地元の人々は言う。まだまだ寒いが、マルシェの野菜や木々の蕾に季節の変化を見ることが出来る。近所のマダムはすでに山にアスパラガスを採りに出かけたのだと話していた。まだ早すぎて収穫できなかったようだが。フランス人がアスパラガスに夢中になる気持ちは全く理解できなかった。昨年同僚から農園で育てたものをもらうまでは。ひょろりと細長くて頼りないのに茹でてオリーブオイルと塩で食べるととろけそうに甘かった。それまで南半球から輸入されてくる太くてゴワゴワしていて薄味のしか知らなかったのだから、驚いた。来月になったらわたしも野生のアスパラガスを採りにでかけよう。最近その美味さを初めて知ったのは年末からちらほら見かけるようになったアーティショー(イタリア語ではアーティチョークでこのほうが一般的によく使われてるのを見る)。イタリアからフランスへ戻る電車の中で、袋一杯のアーティショーを果物ナイフでさばいておやつのごとく黙々食べてるマダムを見たことがある。たった15分くらいの間に大きな袋一杯分食べてしまったが、それでもお腹にたまるのか、というくらい真ん中の小さな小さなところしか食べられない不思議な野菜。缶詰やピッツァの上に乗ったのしか知らず、あまり食指が動かなかった。毎週イタリアからやってくるマルシェのおじさんはフランス語が不自由なので寡黙に立ってお金のやりとりだけをしている。しかし、同じくフランス語が不自由なわたしには親近感でも感じるのか、とっても良くしてくれる。そして良い野菜が手に入ると、それを指さして″ボーノ、ボーノ″と教えてくれるのだ。せっかくなので素直に買って帰る。そうして買ってきたアーティショー。さてどうやって食べれば″ボーノ、ボーノ″なのか。細川亜衣さんの野菜の本に載っていた通り紫玉ネギと塩とオリーブオイルで丸ごと茹でてみる。これが大正解だった。ひとひらずつ剥いていくと中心に向かうにつれてガクの根本がやわらかくなるのでこれを少し齧る。そして最後に缶詰なんかにされてる中心の部分に塩とオリーブオイルを振ってガブリと食べる。このもったいぶったひとくちの美味いことよ。味と食感は筍とアスパラガスのあいの子とでもいった感じ。添えもののような紫玉ネギもまたとろりとよく煮えていて美味しい。

町へ降りるのにバスに乗っていたら、山の斜面に建つ家々の庭先にミモザの黄色い花が鮮やかに咲き誇っていた。春はすぐそこ。


Michelina |MAIL