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2018年02月04日(日) |
Gazpacho manchego |
夕飯時の会話。
「ちゃんと熟してないのを使ったせいだろうけど、一度作ったトマトのガスパチョが不味くて、それ以来ちょっと苦手になってしまったわ」
「あぁ、アンダルシアのやつね。僕もあれはちょっと苦手だな。ラ・マンチャのほうのは食べたことある?ガスパチョ・マンチェゴっていってすごい美味しいんだよ。肉、野菜、ハーブを煮て、そこにトルタっていうクラッカーみたいのを入れて更に煮るの。アンダルシアのは夏に食べる冷たいトマトやらパプリカやらキュウリなどのだけど、ラ・マンチャのは冬に食べる熱々のやつなんだ」
いつか本で読んだイタリア、サルディーニャ島の羊飼いの料理カラザウ(pane carasau)を空想する。カリカリに焼いたカラザウは日持ちがするので羊飼いが移動しながら食べるのにはちょうどよかったとか。これをそのまま割って食べるもよし、トマトソースに浸して食べるのもよし・・・。
ほら、とリュカがYOUTUBEでガスパチョ・マンチェゴの作り方を見せてくれる。直火にかけた鍋にまずはウサギの肉、続いて、鶏肉、そして豚肉・・・と肉のオンパレード。続いて野菜やポテトと鍋に入っていく。そして最後に四角くて市販のクラッカーより更にこんがり焼けたような見た目のトルタを入れる。トルタが水分をすっかり吸収してしまうまで煮たら出来上がり、というもの。更にヴェーガン・バージョンのも探して見せてくれた。あぁ、ヴェーガンのものでも十分美味しそう。
「来週友人がスペインに帰るからトルタ買ってきてくれるように頼んどくよ」
リュカはそう言ってくれたが、わたしはあんなものは作れそうだ、と踏んでこっそりトルタの材料を調べた。なんてことはない、小麦粉と水と塩だけなのだった。イタリアの家庭でパスタを練ったりしないように、フランスの家庭でバゲットを焼いたりしないように、スペインの家庭でトルタを焼いたりしない、それだけのことだ。明日の夕飯にこれを出して驚かせようと企んだ。
小麦粉と水と塩をざっと混ぜたら、練らずに伸ばして四角く切ってフライパンで焼く。鍋にオリーブオイル、玉ねぎ、にんにく、ポテト、パプリカ、セロリと順に入れていく。トマト・ピューレ、ローリエ、オレガノ(本当はタイムだがなかった)、野菜スープ(ポロ葱の青い部分を煮だした物を使った)、そして塩をしたら蓋をして10分ほど煮込む。トルタを投入して更に10分。これで完成。
しらりと夕飯時にテーブルに出す。思惑通りリュカが声をあげた。やったー、大成功。
「どうしたの、トルタ?」
「スペインに行って買ってきたの」
「まさか!お店に売ってた?え!・・・まさか作ったの!?」
日本でいう煎餅汁とかほうとうだね、これ。見た目の田舎くささからは想像できない美味さ。肉なしのを食べたことがなかったリュカも
「野菜だけでも十分美味しい」
と、とても喜んでくれた。