My life as a cat
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2017年11月22日(水) Crema di castagne arrosto

日本を発つ前日、栗の渋皮煮を作った。家族が美味しいと絶賛し、こんな手間のかかるものはなかなか作れないから、と叔父と叔母にも分けた。ところが叔母も栗と芋を合わせたきんとんを煮ているところで、お土産にそれを持たせてくれた。母と成田空港へ行き、クロエちゃんの鳴き声が迷惑にならないように人気のないベンチに座って叔母の作った栗と芋のきんとんを食べた。栗に目がなくて舌に乗せると確かに美味しいと感じるのに、クロエちゃんを飛行機に乗せる不安と家族から遠く離れる寂しさでうまく呑み込めなかった。新天地では栗とか手に入るのだろうか、もしかしたらもう栗もおしまいなのか、とぼんやり思った。

ところが、こちらに着いたら栗パラダイスではないか。€3−7/kgでこれは東京周辺よりも安いのではないか。味も良いし、何よりどこにでも売られている。そしてもう11月の下旬で大分寒いのだが、フランス産の栗が手に入るのだ。栗はどうやっても美味いが、いちばん簡単で絶品なのはフェンネル・シードと一緒に煮たものだ。栗がかぶるくらいの水と1kg辺り大さじ1程度のフェンネル・シードを入れて1時間くらいコトコト煮て、お湯から上げて普通にナイフで皮を剥いて食す。信じ難いが、栗の味に深みが出ると言うのか、このフェンネル・シードが非常に大きな働きをしてくれる。

細川亜衣さんの「パスタの本」より"焼き栗のクレーマ"を作った。全粒粉入りのパスタを練って、栗の形に切り抜く。栗は50分蒸してから剥いて、オリーブオイルをまぶして10分焼く。更に水で煮て、煮崩れたらミルクと塩を足して、ブレンダーにかける。それを更に煮て、再度ブレンダーにかけて気泡を作って茹でた栗のパスタと共に盛り、仕上げにカカオ・パウダーをかける。材料はシンプルだが、工程が複雑だし、何よりとても時間がかかる。しかし、そのお味はそれに報いるものだ。芳ばしい焼き栗とやさしいミルクのスープと全粒粉のパスタがよく合う。

「レストランみたいなプロっぽい味。うま〜い!」

と二人で感嘆。しかしレストランと違って、これに時間がかかって他の物まで手が回らなかった。

「まずはアントレ」

なんてすまして出して後に続く料理を期待させておきながら、その後は簡単に炒めた青菜と朝に焼いて残ってたパンと冷蔵庫にあったチーズしか出てこなかったのであった。


Michelina |MAIL