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リュカの友人でブラジル通のジョルジュ君おすすめの映画"Estômago"を観た。邦題は「イブクロ」。日本に来たものの、小さな映画館で放映され、まったくウケなかった感じだが、わたしすごく好きだな、こういう映画。
ノナトは良く言えばイノセント、悪くいえばちょっと頭の弱い青年。ところが彼には料理の才能がある。無銭飲食で代金を支払えず、働かされることとなった場末のカフェはたちまち人でごったがえすようになる。
ある日一人の娼婦がカフェに入ってくる。むっちむっちなダイナミックな体躯で、いかにも美味そうにノナトの拵えたコシーニャを頬張る娼婦。その夜ノナトは彼女の客となる。
コトがひと段落すると、お腹を空かせた娼婦は素っ裸のまま冷蔵庫を開け、中に入っていたコシーニャを見つけ、また頬張る。豊満な乳房を揺らしながら似たような形のコシーニャを頬張るこの場面はあまりにも印象的で、たちまちお腹が空いてきて生唾を呑みこむ。「空腹で生まれてきた」というこの娼婦はその後のシーンでもとにかくよく食べる。コトの最中でもプッタネスカを食べていたりする。この肉付きの良い食べたら美味しそうな身体の娼婦が、ダイナミックに食べ物を呑みこむのを見ていると無性におなかが空いてくる。そしてそこがこの映画のキーなのだった。
映画に感化され、コシーニャを作ってみることにした。本来のコシーニャは鶏肉とクリームチーズやハーブを混ぜた物をパンの生地で包んで鶏の腿の形にしてパン粉をまぶして揚げたものらしい。わたしはチキンの代わりにジャガイモを潰してハーブと混ぜてフィリングにすることにした。揚げ物はやりたくないのでオーブンで焼いた。本当はもっと尖った形なのだが、生地がダレて、ただのオッパイのような形になってしまった。形はどうであれ焼きたてはもちろん美味い。
「ふわふわであったかくて本当のオッパイみたい」
リュカも喜んで食べてくれた。
参考:(コシーニャ(Coxinha)の作り方