DiaryINDEX|
past|
will
上環のフェリーターミナルよりターボジェットで澳門に渡った。ここは国をまたぐので入国審査などがある。バスに乗り込みセドナ広場に向かう。バスから見る町は香港よりよほど空間の風通しが良く、時間の流れが緩やかなようだ。セドナ広場はディズニーランドのような嘘くささで興ざめだが、そこ一体の地区は歴史市街地区として世界遺産に登録されている。石畳の小路を歩いて、聖ドミニコ教会や聖ポール天主堂跡など一帯の歴史建造物をまわった。途中人々が群がっているお店があったので覗いてみると、おでんだ。おでんといってもスパイシーなカレー味。色んな具が串に刺さって軒先に出ているので、ボウルに好きなものを入れて渡すと煮てくれる。湯葉と揚げ豆腐と椎茸を煮てもらった。辛いばかりで出汁もいまいち。日本のおでんのほうが美味しい、とわたしは思う。あとは澳門名物の杏仁餅は杏仁豆腐に使う杏仁パウダーとアーモンドを生地に入れたクッキーで、これはとても美味しいのでお土産に買った。歴史地区は美しいが人もすごくて、香港の喧騒に疲れ気味のわたしはもっと静かな所に逃避したかった。さっさと切り上げてまたバスに乗り、南の離島にある路環(コロアン・ビレッジ)に向かった。土地勘もなく、降りる場所も不明の為、ドライバーに地図で指さして自己主張しておいた。30分後、ドライバーがわたしに向かって喚いているがバスの外は何もない辺鄙な場所。ここで乗り換え?それともここがもう目的地なのか?そう聞いても誰も理解しない。街中ならとりあえず降りても軌道修正がきくが、タクシーも通らないような場所で降ろされてはまずいとこちらも必至だ。バスの乗客がみんな外を指さして″コロアン!!!″と叫んでいるので仕方なく降りようとすると、そこに乗り込んできた女の子が日本人だった!この坂道を下りればコロアン・ビレッジだと教えてくれたので、やっと安堵してバスを降りた。ここは本当に何もない海に面した小さくて静かな漁村。来たかったのはこういう所。町中で一番賑わっているのはエッグタルトで有名な老舗、″ロードストーズベーカリー″だ。ベーカリーもカフェも立ち飲みカフェもある。立ち飲みカフェの前を通った時に急に雨が降り出したのでそのまま中に入った。こんなに人気でも他の食べ物や味を出したりしない。彼らが売るのは″エッグ・タルト″ただ一種類のみだ。こういう堅実なお店は信頼に値する。立ち飲みカフェはわたし一人だった。エッグタルトをひとつとダブルエスプレッソをもらった。オーブンから出したばかり、まだほのかに温かい。これは絶品。雨の音しかしない静かなカフェでぼんやり雨宿り。雨に降られてあまり歩き回って観光はできなかったけれど、ここに来てやっと心のざわつきが落ち着いて、本当の休息ができた気がした。
さて、そろそろ香港に戻ろうと思ったがフェリーターミナルまで行くのにタクシーがなかなか捕まらない。やっとこさ一台通りがかりのタクシーを止めて、一緒に雨宿りしていた香港からの叔父さんと甥っ子コンビとシェアすることにして、帰った。香港まで彼らと一緒だった。無口な二人だったが、とても素朴で良い人達だった。
(写真:澳門の飼い猫ちゃん。中国人の如くスリム。でも大食いなのかも。)