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2013年08月05日(月) |
しみじみと感じ入るブラチスラヴァの長い夜 |
船着き場から旧市街に向かって歩く。町の随所に終わりに近づいたコデマリが咲いていて、落ちた花びらが粉雪のようにアスファルトに舞い落ちていた。
ウイーンから来ると、その町のイメージカラーや建物の色の野暮ったさを感じる。旧市街を抜けてホテルに向かう。ホテルの窓からの眺め。
ホテルは安宿でも高級でもない至って普通のを選んだが、レセプションに3人も身なりをきっちり整えた長身のイケメンが立っていて面食らった。なんとなく見ていると、この国ではホテル勤務はなかなかステイタスが高いのではないかと想像してしまう。そしてあまりにものイケメンににっこりスマイルを送られたりすると、詐欺師なのではないかと変に疑ってしまったりする。
荷物を降ろして、旧市街を歩く。船着き場から旧市街を見た時は″野暮ったい″と思ったが、この小さな迷路の町を歩くと″愛らしい″とたちまち愛着が湧いてくる。
こんな小さな路地におみやげ屋さんが軒を連ねている。どこも品ぞろえが同じだが、価格はまちまちだ。
町のあちらこちらにこのようなお茶目なオブジェがある。
ここは人生で初めて真剣に付き合い、何年も一緒に暮らした人の故郷だ。こんな小さな町からやってきた人と、極東の小さな島国からやってきたわたしが南半球で知り合って、何年も一緒に暮らした。人生の可能性は無限大、とつくづく思う。そして別れて何年も経つのに、別れてから見聞きしたもので初めて相手の文化を理解するということがお互いに多いようだ。
彼は頭が固く随分と″難しい人″だったが、いたるところに茶目っ気があった。町を見るにつれて、彼の言動の出所を今更ながら理解していった。
パブで夕飯を。これも彼がベジタリアンのわたしに作ってくれた郷土料理とぴったり同じだった。フライドマッシュルームとカマンベールチーズとオニオンリング。それにしてもパブのテラスに吹き込む、夏の夜の風の心地良いことよ。ぼんやり道行く人を眺めて過ぎていく自堕落な時間。これこそヴァケーションのありかただね。
21:30。パブを出てまた町を練り歩く。陽はまだ完全に落ちていない。まだまだみんな長い夏の夜を愉しんでいる。