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窓辺で育ったバジルを摘んで、ジェノベーゼのパスタにした。農園で採れた新じゃがも入れて、焼きたてのグレインブレッドも添えたら初夏の空気に似合う美味しい夕飯の出来上がり。自分で育てた野菜や酵母のパンは格別だ。
数日前からノラのお母さんが夜通し姿の見えない子猫を探して鳴いていた。4匹の子のうち3匹が姿を見せなくなってしまった。前の家のおじさんに聞くと、誰かが連れて行ったのではないか、という。このおじさんはわたしとは生活のリズムが違うようで、たいていわたしの知らない時間の猫達の様子を知っているのだ。しかし、あんなすばしっこい子猫がどうやって3匹も捕まえられたのか。多分、もう帰ってこない。声が涸れても我が子を思って鳴き続けるお母さんの声が、夕暮れに染まるこの静かな町に響きわたる。あまりにもせつなくて、涙がでてしまう。もう窓からあの天真爛漫な子猫達とお母さんのただただ幸せな風景はもう見えない。それでも残った一匹はただただ見るもの全てが新しくて、走り回って遊んでいる。この子だけがお母さんに残された希望なのか。いなくなった3匹は心の優しい人に拾われて、どこかでちゃんと食事にありつけているのだ、と信じたい。