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潮来へ行ってきた。すみれの季節はもちろんいいけれど、こんな冬の風景もなかなかだ。大地震の被害を受けて、防波堤は工事中だったけれど、野鳥は厳しい冬を生き抜くために、食料を求めて、餌付けの許されたこの場所にやってくる。この鳥達の楽園は、世界から隔離されたように長閑で平穏な時間が流れていた。
帰り道、おなかを空かせて、国道沿いの"ピザ・パスタ"という文字がどっか〜ん屋根に書かれたロッジのような喫茶店に飛び込んだ。"店長"と呼ばれるおじさんがと高校生のアルバイトのような女の子がふたりで切り盛りしている。店長がシェフで女の子がウエイトレスだ。
「ベジタブルドリアの野菜は何が入ってますか?」
と女の子にたずねると、キッチンへ行って店長に聞いている。
「色んな野菜だよ」
と店長がぶっきらぼうに答えているのが聞こえてくる。女の子が戻ってきて、
「ナスとほうれんそうと・・・・・色んな野菜が入ってます」
と自分の知ってるかぎり一生懸命答えてくれる。それを頼んでみた。ちょっと偏屈な感じの人が客商売をして、倒れない理由は、"味がいい"こと以外にない。でてきたドリアは本当に"色んな野菜"が入っていてとても美味しかった。ナス、ほうれんそう、玉ねぎ、ポテト、ブロッコリー、パプリカ、しめじ。食後のコーヒーも挽きたての豆で入れてくれる。デザートのブルーベリータルトまでぺろりと食てしまった。この小さな旅の思い出は、美味しい食事のことと共に刻まれた。