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オーベルシュルオワーズで食べたアツアツのタルトタタンの味が忘れられなくて、レシピを検索したところ、栗原はるみさんの"パリのタルトタタン"というレシピを見つけることができた。バターで炒めたリンゴをシナモンとラムと砂糖で更に炒めて、フライパンのままオーブンに入れてパイシートを上に乗っけて焼くだけ、という極めてシンプルなレシピ。タルトタタンはパリのキャッフェの定番デザートのようでどこでも食べることができたが、どこも隠し味のないシンプルに"リンゴを味わう"というような味だった。これは近い味になるに違いない、とさっそく作ってみた。
オーブンに入れるまでしてシャワーを浴びて、浴室のドアを開くと、たちまち甘いリンゴの香りに包まれた。クロエちゃんはわたしの使っているシャンプーの香り(ナチュラルなアロマオイルの香り)が大好きで、いつもシャワーを浴び終わると狂ったように塗れた髪に頬ずりして喉を鳴らすのだ。これがなんともいえなく愛おしいのだが、今日はもう髪に頬ずりする前から狂っているようだった。猫にもこの香りはたまらないのだろうか。
一晩置いておく。会社帰り、白い息を吐きながら、ハーゲンダッツのキャラメルアイスを買ってせっせと坂道を登って家路を急ぐ。玄関のドアを開けるとまだ甘いリンゴの香りが消えていない。冷えきった足をこたつに突っ込み、アツアツに温め直したタルトタタンにアイスを添えてハフハフいいながら頬張る。口の中でとろりとほろ苦いキャラメル味とリンゴの味がとろける。こんな些細なことに言い知れぬ幸せを感じるある寒い冬の日でした。