My life as a cat
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2012年04月25日(水) Coffee Beans :)

疲れて帰宅してぐったりと腰をおろし、なにげなくつけたテレビ番組にテホ君という韓国人の男の子が出ていた。テホ君は5歳。愛らしい笑顔を見せるどこにでもいるような普通の男の子に見えるが、彼は生まれつき両腕がない。そして母親に捨てられて孤児院で育った。だが、テホ君は足を器用に使い、なんだって人並にこなす。それどころか、他の子が靴下を履くのを手伝ってあげたりまでしている。その姿は仕事で揉まれてささくれだったわたしの心にぐさりと突き刺さった。職場では"出来ない"ことばかりカウントされる。そんな職場ははっきりいって病んでいるといえよう。"出来ない"理由は各個人ではどうにもならないことばかり。それなのにいかに"出来ない"理由を自分ではない誰かになすりつけるか、またはいかにいざという時に責任逃れするかということに躍起になる人ばかり。それほどまでにプレッシャーをかけられ追い詰められているといえる。理屈ではそれは正しくないと解っていても"出来ない"ことばかり突かれ続けていると、あれも出来ない、これも出来ない、挙句の果てに自分は無能だという暗い気持ちに取り付かれて、妙に気持ちが沈み込んだりする。テホ君は腕を授からなかった代わりに優しい心を授かった。わたしは仕事を100パーセント期限内にデリバリーすることが出来ない代わりに、それを人のせいにしたり、立場の弱い下請け業者をなじったりしない強い精神を授かった。人間なんてみんな持っているものが違うのだ。自分の力ではどうにもならないことは、個性と受け止めて笑って生きた者勝ちだ。テホ君がそう教えてくれた。

思い立ってクッキーを焼いた。エスプレッソががつんと効いていて味も食感もとてもいいのだが、なんといってもコーヒービーンの形が愛おしい。どっと疲れた時もキッチンでちょこちょこと何かを作ると気持ちが和らぐ。


Michelina |MAIL