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2012年02月08日(水) |
German chamomile tea |
不正出血することが多くなり、2年ぶりにドクターに会いに行くことにした。2年の間に彼は非常勤だったクリニックを辞めて、自分で開業したというので、その先を訪ねた。このドクターは腕がいいのはもちろんだが、わたしは彼のお喋りで愉快な人柄にどんなに精神的に救われているかと思う。ただでさえ憂鬱なところに眉間に皺を寄せて難しい顔で仕事をされたら完全に滅入ってしまうだろう。今日は顔を見るなり、太ったと言われた。いつか子供が欲しいと思うなら太ってはならないときつくたしなめられているのだ。
「年をとって代謝が落ちたんでしょうね。今までどおり食べていても太ってしまうんですよ。」
と言い訳した。
「違うの!年をとると頭がよくなって、無駄な動きをしなくなるの。子供を見てごらんよ。無駄な動きばっかりでしょ。あなた電車を待ってる間突っ立ってるでしょ。子供みたいにかくれんぼしたりしてないでしょ。そこが違うの!」
「はぁ。じゃぁ、わたしもかくれんぼとかしないとダメなんですね。」
「でもあなたがやってたら逮捕されると思うけど。」
そんな会話をしているうちに検査は終わった。
「すごいね!2年前と変わってない。全然悪くなってないよ。それにあなたの卵子は5年前と変わらず若い。このままいけば45歳くらいまで問題なく妊娠できるでしょ。」
と太鼓判を押された。超音波のモニターには卵型の白いものがぷかりぷかりと浮かぶように写っていた。そこそこの悪い結果も想定して覚悟をしてきただけに拍子抜けしたが、安心した。
昨夜まで気落ちしていた。すでに妹が病気だから、もし自分に病気が発覚しても親には言いたくない。でもかといって看病をしてくれる人はいない。孤独だなぁとしみじみ感じてしまった。クリニックのあるビルにヨガのスタジオがあったからふと思い立ってチャズにメールした。
「あなたの通ってるヨガのスタジオってもしかして。。。」
ビンゴだった。東京のビルの数からしたらなんて偶然なんだろう。チャズはヨーロッパにいた。彼もやっぱり孤独だ。でも孤独な者同士だから一緒にいようということにはならない。今読んでいる松本清張に書かれた徳川家康の伝記の言葉がふと胸に響いた。
"弱いものは苦労に負けてしまう。すぐにめそめそ泣いたり、かなしんで人を恨んだりして、自分からつまらない人間になってしまう"
子供の頃から人質として他国へ送られ苦労の多かった家康だが、彼はそこから多くを学び取り、物事が悪いほうへ進んでもケロリとして、森を駆けずり回りたか狩りを楽しんでいたという。
"人の一生は重荷をおって遠い道をいくようなものだ。いそいではならない"
孤独でも病気でも精神が負けてしまったらそこで前進できなくなってしまうのでしょうね。
たまには体をゆっくり休めて労ってあげようと、カフェインのないジャーマンカモミールティーを買って帰った。黄色の花にお湯を注ぐとふわりとリラックスする香りが広がる。今夜はぐっすり眠れるでしょう。