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ニュースの特集で19歳から34歳の男女の約半数がシングルだというアンケート結果がでたというのを見た。咄嗟にこの忙しいライフスタイルが大きな要因だと思ってしまったわたしは古い!道行く男女へのインタビューではシングルである理由をほぼ誰も忙しいなどとは言わなかった。
「ひとりでいるのが気楽で楽しいんです(22歳女)」
「どうせ告白したって断られることを考えたらひとりでいるほうがいいです(19歳男)」
「デートに誘ったりできなくて、どうしても誘われるのを待ってしまうんですよね(20歳男)」
「収入も低くて不安定なので結婚は無理です(32歳アルバイト男)」
「2次元に彼女がいますけど、3次元にはいません(22歳男)」
なんだかショッキングというよりもどんより落ち込んでしまう。わたしが高校生の時などはいわゆる女子高生ブームなどと言われる時代で、ミニスカートにルーズソックス、ブルセラに援助交際、ブランド品が欲しくて体を売ってしまうような女の子もいた。良くも悪くもとにかくまだ若者の間に欲とエネルギーが渦巻いていた。それが今ではそんなことをする学生はいないんだそうだ。ブランド物にも興味がない、だからお金を得ることにも興味がない、もう無欲・無関心それが今の若者の実態なのだそうだ。"無欲"にも種類があるが、それはおそらく無気力からなる無欲なのであって、マザー・テレサやマハトマ・ガンジーのような頑健で強靭な信念に基づく尊重すべき無欲ではないのだろう。
わたしもそうだが周囲の若者でもシングルが圧倒的に多い。オーストラリアでは何をするにもカップル単位のことのほうが多かったから、これは本当にカルチャーショックなのだが、単純な理由の一つに都市の大きさの問題があるのではないかと思う。このトピックについてあらゆる都市から来た外国人達と話し、大きな賛同を得たので、これはオーストラリアに限った話ではなく、世界一大きな都市といわれる東京に対する他国の都市との比較だ。東京からその近郊ほどこんなに大きく街と人が広がっているところは稀だろう。オーストラリアでいえば、"シティ"と呼ばれる中心地区があり、人々はシティに集中して住み、シドニーでさえシティの中心から30分もドライブすればもうファームのど真ん中にいるという土地柄なのだ。だから出会う人殆どが30分以内のドライブで会える場所に住んでいる。この"ドライブ"というのも大きな鍵で、やはりそれは地下鉄で何度か乗り換えて・・・などとするより余程楽なのだ。部屋着のまま車に乗ってふらりと会いに行くなんてことはオーストラリアでは簡単に出来ることだ。それに加えて残業などしない文化だ。だからちょっとめぼしい相手に会えば、毎日デートを重ねる。それだけに親しくなるスピードも早い。パースの友人・知人ではシングルのほうが圧倒的に少ない。それにひきかえ、東京のわたしの周囲のシングルは揃いも揃って残業族で、常に体に疲労が溜まったままで、めぼしい相手に会ってもそれに気付くほど精神がフレッシュに保てていない、または気付いてもそのうち忙しさにかまけてフェイドアウトしていくというような侘しいルーティンを疑うことなく続けている止まらない歯車のような人が多い。
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週末はチャズと表参道で落ち合って、彼のお気に入りの個人経営の小さなカフェでおじやのランチを食べて(すっごく美味しかった)、小さなアートギャラリー巡りをした。学生の時にべったり寄り添った街は、同潤会アパートも取り壊されてしまったけれど、それでもそこを歩く人々の風俗の傾向は一向に変わっていないように思う。
そして、夜にチャズの家の屋上に登った。人が簡単に登れないようになっているから無理やりよじ登ったというのが正しい。そこには東京タワーがくっきりと澄んだ秋の夜空に映えていた。