My life as a cat
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2008年04月26日(土) Broken flowers

いつもどおりのジム・ジャームッシュの歩調でてくてくと進む映画だった。先日、"夢や意志がなくぽっかり口を空けて時間をやり過す人が先進国には多い"などと書いたが、ビル・マーレー演じるドンは正にそんな人間だった。コンピュータービジネスで成功してお金は得たけれど、コンピューターが好きだった訳ではない。若い頃はドンファンだったけれど、これといって記憶に残るような恋愛をしてこなかったのだろう。ある日届いた手紙で息子がいたことを知っても全く心当たりがないといった様子。おせっかいな隣人に背中を押され、また意志もなく過去の女にひとりひとり会いに行き、息子を探す旅に出るといったストーリー。Broken flowersとかけたのか、「過去の女」のひとりはシャロン・ストーンなのだが、娘役が脱いでしまい、シャロンは
「服を着なさい」
とたしなめる役回りなのには苦笑した。

あの光市の事件。判決後の会見の本村さんの言葉は胸に染みた。死刑で解決するものではないと思う。心の健康を害してしまった人々はまず治療を受けてみる価値はないのか。もっと強くならなきゃいけないよ。死刑判決というのは治療しても治らないから諦めましょうということなのでしょう?生まれる環境は選べない。でも生まれもっての悪人なんていなくてその環境によって人格が形成されてくるものでしょう。もし違う環境に生きてきたら、と少年犯罪の場合は殊更そう思う。ただ弁護団のアプローチの下劣さには落胆した。

夕方ぼんやりと散歩に出た。ふと気付いたら雨がぱらぱらと降っていて、わたしは傘をさしていた。そこまでして散歩したかったのかな、わたし?無意識のようでそこには意志があったのか、とひとり笑った。


Michelina |MAIL