My life as a cat DiaryINDEX|past|will
マーヴの裁判は全てにおいてフェイル。当人の落胆は測り知れなくて、電話越しの声は完全に精気が抜けていた。誰もが予測しなかった結果に、改めて外国人留学生という立場の弱さを実感した。学費だってオーストラリア人の倍は取られて、技能を持たなければ住まわせてはくれないから勤勉に能力を磨く、そうやってきた外国人も何か問題があれば守ってくれるものはなくたちまち弱い立場に追いやられる。どこの国でもこれは多かれ少なかれ同じだろうけれど、それにしてもやるせない。日曜日の夜にテレビでやっている弁護士夫妻を主体にしたコメディが面白いのでたまに見ているのだけれど、その一話にこんなのがあった。平凡な仲むつまじい家族がいた。ある日、父親が痴漢の罪に問われ警察に連行されてしまう。罪を認めれば起訴されず、5万円の罰金を払ってすぐに釈放される。認めなければ裁判まで数ヶ月拘束されるか、あるいは保釈金を積んで塀の外で裁判を待つか。父親は潔白であったが、痴漢の裁判で無罪を勝ち取れる確立は3パーセントと言われているくらい低いものだから、弁護士までもが認めて罰金を払ってしまうことを勧めた。結局、言われるままにして一見元通りの平穏な生活が戻ったように見えたのも束の間、前科がついてしまった父親はそれに気を病むようになり自殺した。一番の懸念はそこで、マーヴが"相変わらず"自分の知っているマーヴであることに胸を撫で下ろしてこの一年を過してきた。
Michelina
|MAIL
|