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夕方、父の同僚が家に来た。もう招くのも招かれるのも億劫そうで、猫並のテリトリーで暮らしているからこれは珍しい。隣室でおとなしく本を読んでいると会話がまる聞こえ。何やらその人は友達の保証人になって逃げられて、多額の借金を背負い、それでも一緒にいたいと言った奥さんと離婚したようだ。酒が入るにつれ、自分は不幸だと嘆きはじめた。そこへ仕事を終え疲れ果てて帰ってきた母は、あっさり言った。
「じゃぁ、男の面子なんて捨てて元に戻ればいいじゃない。」
だけど、、、、なんやらかんやらと愚図る声がして、もう興味が失せたので声を聞かないようにして読書に集中した。8時にもうそろそろ帰ると言いながら、結局家をでたのは11時くらいだった。父も飲んでいたのでわたしと母で車で送った。3連休の初日、定年間際のおじさんが、酔っ払いながら暗くて冷え切った部屋に帰っていくのはなんとも痛い姿だった。
マーヴに話すと、
「お金の問題で別れるなんてばかげてる。」
と言うのでほっとした。彼には古いタイプの日本男児のような面子や責任感はない。わたしが、それでもあなたと一緒にいたいと言えば、嬉々として、"よかった、ありがとう"と答えるでしょう。結局この同僚は自己美学にしがみついて奥さんに余分な不幸も与えてしまったのではないかと思う。