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しとしと雨の午後お気に入りの赤い傘と一緒に電車でちょっと遠出。営業マンの代理で客に会わなければならなかった。ランチにわたしが密かに隠れ家にしている地下のイタリアンレストランで美味しいパスタとエスプレッソを摂ってお腹も心も満たされていたので電車の中で幸せ気分でうとうとと眠ってしまった。ふと目を開けると窓の外に一面紫陽が広がっていた。紫陽花はしとしと雨に濡れながらも儚げに微笑んでいるよう。こういうところがパースには絶対に無い日本の素晴らしいところなんだと思った。
現れた客は現地に着いてみたらピッとスーツを着た営業マンではなく花柄のスカートをはいた女が待っていたのでちょっと驚いた様子だった。客はこの業界の典型といった雰囲気の男性だった。そしてその典型というのは男性として全くわたしの好みではない。それなのにまた「典型」のように別れ際に今度飲みませんか?と誘われた。わたしは男性がノッている会話の中で流れるようにサラリとそうやって誘ってくるのが不誠実な感じがして好きではないのでそこで黙ってしまってさっきまでノッていた会話の流れをピタリと中断させてしまう。
あちらが軽く誰でもそうやって誘うタイプなのか、それともわたしが誰にでも軽く誘われてしまうようなタイプなのかと悩みながら帰りの電車の車窓からまたきれいな紫陽花を見て溜息をついた。最近わたしはちょっと調子が悪い。