LESSON,2 April,8 2045 21:00 ファンデンブルグ研究室 寝入ってしまったアンジェラを車に乗せて、3人は研究室に戻ってきた。 入り口から左側の2部屋が客室になっている。 手前側の部屋をブラッドが、左奥の部屋をアンジェラが使うことになった。 部屋の廊下側の壁はガラス張りになっている。 中のシャワールームとベッドルームは、薄い壁で死角になるようにレイアウトされていた。 ブラッドがドアを開くと、研究室らしくデスクがあり、そこにはパソコン用のスペースと、 そのデスクの右側にフォログラムが立ち上がっていて、ニュースらしき番組が放送されている。 ビールの匂いが微かに残るTシャツを椅子にかけると、ジーンズのボタンを外しながら、 ブラッドはシャワールームへと向かった。 「あ、タオルを用意する前に、蛇口を捻っちまった」 湯加減を確かめようと捻った蛇口に手を差し出すと、意に反してシャワー口から冷たい水が降り注いできた。 「うわ・・・冷た・・・」 トッティの店、そして車の中でも熟睡していたアンジェラは、ようやく緑色の瞳を半分開いた。 ベッドの真ん中あたりに座ると、『ふ〜』と一息をついて、紅いリボンをほどき始めた。 「あ、化粧を落とす道具を持ってきてないわ・・・ヴァレンに借りよう・・・」 長い一日で、鉛のように重くなった体を細い両脚で支え立ち上がった。 そして、フォログラムのチャンネルをヴァレンの部屋に繋がるように合わせた。 「あら、アンジェラ、お目覚めね」 「すっかり眠ってしまって・・・クレンジングオイルとコットンを貸していただけないかしら」 「それだったら、シャワールームの棚に一通り備え付けてるわ、足りないものがあったら言ってね」 「あ、はい。ありがとう」 22:00 ブラッドとアンジェラの2人がシャワーを終え、それぞれの部屋のデスクの前に座っていると、 フォログラムにヴァレンが現れた。 「お疲れ様、2人共。今日からしばらくはその部屋が貴方達の部屋よ。 生活に必要なものは、今夜オーダーを入れておいてね。明日の朝には届くはずだから・・・」 『はい』 「早速今夜から、貴方達にはオンラインゲームで麻雀を打って貰うわ」 ヴァレンの説明を受けながら、ブラッドとアンジェラはデスクの上に用意されたノートにペンを走らせた。 『2週間後の大会までに、東南戦200回戦をこなしながら与えられた課題をクリアしていく』ということ。 LESSON2 『東南戦10回戦で、一飜役を全部クリアすること』 最初に与えられた課題は、勝敗の如何よりも、一飜役をあがり切るというものだった。 「確か、一飜役は10種類くらいだったな・・・」 「え〜と 一飜役ね、テキストを開いておかないとあがり忘れしそうだわ」 「10試合を終えるか、課題をクリアすれば休んでいいわ。 対戦のデータはアタシの所へ自動転送されるから、連絡は不要よ。 明日、9時から講義を始めましょう。頑張ってね、アンジェラ、ブラッド」 「はい」 フォログラムに映し出されていたヴァレンの姿がフェードアウトすると、 まもなく、画面はウェブゲームのスタートのコマンドに切り替わった。 東1局 南家 ブラッドの配牌 「なんだこりゃ・・・役牌であがりを狙うしかないか・・・」 東1局 西家 アンジェラの配牌 「あ、この形は平和ってのが狙えるかな・・・」 |