気持ちを言葉しなくなったのは、あたしが逃げているだけなの。 気持ちを言葉にするようになったのは、あなたが不安なだけじゃない? 華が、確かめるように、何度も、好きだと囁いてくる。 あたしの名前を呼び続ける。 あたしは、以前よりもかなり、情熱的に呼びかけなくなっている。 それでも、胸の奥にいる、一番深くてあったかいところには、いつだって華がいる。 それを、言葉にしないだけ。 「いちごが好きだよ」 「知ってる」 「すごく好きなんだよ」 「分かってる」 そんな押し問答は楽しくないと思うけれど、あたしはどうしてか、真っ直ぐに応えられなくなった。 華を抱き締める手、抱き留める腕。 そんなものには変わりはないのだけれど、どうして、と自分に問う。 全てはあなたから始まって、あなたが終わらせることができる。 そんな恋なのだと、思い知ったから。 あたしがこの場所から消えないのは、あなたがそれを止めるから。 あたしたちが続いているのは、あなたがそれを望むから。 もし、手を放されたその時には、あたしは少しだけ泣いて、 自分の足で歩き出すことを選ぶんだ。 そんなの、悲しいね。 ねぇ、華。
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