全削除してから半月。 とりあえず、話はまとまったというか、落ち着いた。 結局はもとの状態に戻ったのだけれど。 今でも、ふとした瞬間に思い出す。 「お前らの関係が世間に認められると思うなよ」 そう、言われた言葉。 その瞬間、何も返せなかった。 あたし、認められたいと思ってるのかな。 違う、と言いたい自分がいるのに、声が出ないの。 苦しい。 仕事中、食事中、朝起きた時、眠る前。 ふと、それらを思い出す。 苦しいんだ。 地元に帰ると言いかけたあたしを引き止めたあなた。 男に急かされるようにして、母親に電話をして、全てを暴露したあたし。 もしもの時には、迷惑が掛かるかもしれないから。 全て、話してしまった。 勘当してもいいよ、と言ったあたしに、 そんなこと出来ないと言いながらも、認められないと呟かれた。 うっかり帰省した日には、二度と戻れなくなりそうな雰囲気。 勘当されたと思って、家に帰ることは諦めた。 こうしてあたしは、一つずつ、捨てていく。 華と、あたし。 女同士の恋愛と、不倫の恋という、悪夢。 昨日行った嵐山の景色のように、潔い色をしていられたらいいのに。 上手くいかない。 ねぇ、華。 あたしたちが出会って、もう一年が経ったね。 あの夏は、本当に正しかったのかな。 ときどき、悲しくなるんだよ。 そうすれば、何も悲しくはないのだけれど。 歓びは一つもないのだと、考えてまた、悲しくなった。 あたしたちは、何処へ行けばいいんだろう。
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