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2012年11月07日(水)

古い革袋の力

朝日のBe(紙面)で、ミタニンの発言
「本当の意味で客席がわいたと感じたのは歌舞伎と文楽だけ。」(うろ覚え)に、大きくうなずいた。
あの2つは空気の盛り上がりがただ事ではなかった。

普段舞台を見ているときに、頭のどこかに"見ている私の意識"が残る。
私の場合、解釈脳として働くことが多い。

例えば、TTB!を見て、いい歌だなぁーと浸りつつ、
"ある種の切替期。プールで折り返しの板を蹴ったような"と思ったりする。
もしくは"宇宙空間を感じるなぁ"とか"白い静寂だなぁ"とラベリングしだす。

舞台の見方として道に外れてる。
私の思う真っ当な舞台の見方はこれだ。 「志村ぁーっ!後ろーっ!」

例えがことごとく古いと言われるが、これ以上のイメージが浮かばない。
ドリフターズのコントの定番シーンだ。 後ろから危険が迫っている。なのに志村は気がつかない。
僕が教えてあげなくちゃ。「後ろーっ!後ろだってばぁー!!」と声を限りに叫ぶお子様がた。

舞台と客席の、演目と日常の境界線がなく、「何とかしてあげたいっ!」と我を忘れて心が走る。
そんな没入感が私にとっての王道の観劇シーン。

舞台見て涙したり、面白かったーと思ったり、凄いなとか綺麗だな楽しい時間だな、とかは色々ある。
でも、舞台が終わった後、はっと我に帰るような全身全霊のずっぽり異空間体験は、文楽と歌舞伎だけだった。

見終わると湯上りの気分。
私だけじゃないよね。。。。という気もしてた。
客席全体が、我を忘れたような拍手と笑い声に包まれた・・よね。
(今まで断言出来なかったのは、夢中になりすぎて周りを観察する余裕がないからだ)
でも、作者もそう感じてならそうなんだろう。

伝統芸能の型の力なのか。
ミタニンだけでもだめ。伝統芸能だけでもだめ。
("だめ"って言うのは作品としての否定じゃない。念のため。
それぞれとても面白い。確かに面白いんだけど、でも沸き方が、正確には沸き方の抑制の効き方が全然違うんだ)
2つが重なった時に、何だか見たことの無い沸きあがる芝居小屋空間が生まれる。
宇宙船に近いかもなー。

『おのれナポレオン』も面白い舞台になるといいな。舞台で見たことないのは周平とうっちーか。
野田さんは前に見たときに、ふにゃふにゃ。。。わー に疲れたのと、メッセージ性が合わなくてその後避けてたけど、どうだろう、印象変わるかしら?


alain

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