妄想暴走オタク日記 web拍手


2009年08月07日(金) 雑草


 独房に足を踏み入れて、まず目に入ったのは、オレンジの囚人服を赤く染める血の色だった。

 遅かったのだ、と思った。
 ろくに食べ物も与えられていないだろう彼の為に、用意した食事も。彼の仲間によって、パンやおかずがもう既に彼の手の中にあったし、何より、目の前の彼はもう、その命の灯を消していたように見えたから。
 「―――ごめんな」
 救いたいと思っていた。彼らを、彼を。救える筈だと思っていた。
 けれど実際に貶められた彼を目の前にして、何も出来なかった自分。助けたかったのに、何もかもが遅かった。所長達がここまでやるとは思っていなかった。甘かったのだ、自分は。
 薄暗い刑務所の中で笑って見せた彼の、その笑い顔が好きだと思った。鬱屈した諦念感が漂う房の中で、どこかふんわりとした、力強くも優しい、そんな笑い顔。
 けれど今、固く目を閉じて横たわる彼はもう、笑う気配もなかった。無性に彼の笑い顔が見たかった。もう見れないのだと、分かっていても。
 「…まだ、死んでへんよ」
 目の前の惨状があまりにショックで、気が急いていたらしい。弱弱しかったけれど、確かな声がして、佐久間は小さく息を呑んだ。
 「お前…」
 生きていたのか、と聞くのは酷な気がした。それほど目の前のトシローは、本当にもう、今にも死にそうな顔をしていたから。それでも懸命に薄目を開けて、こちらを見やる。
 「ごめんな、俺。…何も出来なくて」
 がくん、と膝の力が抜ける。腰から座り込んで、彼と目が合った。
 「…そんなこと、ないよ。他の看守の目を盗んで、ここまで来てくれたんやろ」
 ふわり、と彼の気配が笑いを纏う。好きな温もりだった。いつか見たものと同じの。
 「でも…」
 彼が目の前で死んでいくのを見ているだけなら、何も出来ない、しないのと同じだと思った。分かっていても今、するべき事が見当たらない。
 ぽろり、と涙が落ちる。
 悲しいのでも辛いのでもない、けれどとめどなく溢れる涙が止まらずに頬を滑った。音もなく流れ落ちる涙は、ぽたり、ぽたりと独房の床を濡らす。殆ど見えていない彼の目にも、それは感じられたようだった。
 泣かないで、と声ではない気配が言う。掠れていく声は、もう言葉を紡ぎにくいようだった。
 「…手を、握っていて」
 掠れて聞き取りにくかったけれど、彼がそう言ったのが分かった。
 血がこびりついて赤黒く腫れ上がった彼の手に、そっと触れる。恐る恐る力を込めると、弱弱しいけれど、確かに握り返す感覚がした。
 ありがとう、と彼がまた笑う。
 それは、佐久間の願望だったかも知れない。暗い独房で目を閉じて横たわる彼から、表情を読み取る事は難しかったから。
 「泣かないで」
 悪い人生じゃなかったと思う。ここに来た事で仲間と出会えた。命を懸けてもいいと思うほどの素晴らしい仲間だった。彼らの為に死ぬのであれば、そんな人生も悪くない。
 それに、と彼は言う。
 それに自分は、一人で死ぬ訳じゃないから。
 犬死かも知れないけれど、今ここに自分じゃない誰かがいる。泣いてくれる人がいる。佐久間が手を握ってくれる。
 果たしてこんな幸せがあるだろうか。
 出来るならもう一度、佐久間の顔が見たいと思ったけれど、もう重く垂れ下がる瞼を上げることすら、出来そうになかった。体じゅうから力が抜けていく気がする。意識が薄れていく中、懸命に佐久間の手を繋いだ。
 「……あたたかい、」
 呟く声を最後に、ゆっくりと手と手が離れた。



▼2:09



ごごごご無沙汰振りです!

つーか今だここを見てくれている人が果たして何人いるのかって話なんですけども、本人ですらURLどこだって?と探した有様で(汗)よくよく前回日記が2008年の6月とかみたいなんで、1年以上放置していた訳なんですが…さすがにもう落ちてるのかなぁと思ったら、案外シレーとそこにあったので、じゃあ久し振りに書いてみるかと言う日記です。というか他に書くところもないので(笑)

この1年何をしていたかって、昔ほど数はこなせてないけどもちゃんとエイトコンも行ってました。
ヒナソロももちろん行きました。(いつの話だっけ)
もろもろ感想書かなきゃな〜と思ってたんだけど、最近どうも日記を書くと言う習慣がなくて。


で、今日何を見てきたのかというと関ジュです。松竹です。
もー松竹に行きたいというだけで取ったチケット(笑)!横ちょ脚本だし!
でも少年刑務所だってよ大丈夫?!とか言っててすみません!大智看守でしたすみません!

まさかここ見てる人でネタバレは困るわってな方もいないでしょうが(というか誰もここ見ていない可能性が大いにww)濱ちゃんに死亡フラグが立ちすぎていて、あれよあれよと泣かされる羽目になり(私が)二幕はとうとう一回も出てこなかったよ!みたいな!むしろそれなら最後ブランコに乗って上から下りてきてくれないと!みたいな色々文句はありましたが、結局まんまと萌えて帰って来ているあたり、横ちょとじゃにさんも結局好みが似ているということなんでしょうか。

打ち上げの飲み屋では仕方なし薫太大智とか語ってみましたが(だって死人なんだもん!)それでもまずは死人相手に何かしておかねば気が済みませんでした。これぐらいの妄想は許される筈…ってか大智おいしいんだかおいしくないんだかよく分からない役でした。途中まではギャー通う!と思ってたんだけど死亡→大智実は→あたりで色々もにょった…。それならそれで色々役立たずだよムキー!

と、じゃに脚本に文句を言っても仕方ないという事は久々に思い出しました。
とりあえず縁あれば通うと思うので、もう少し頭を落ち着けてまたかかか感想を!

もしこれを見て下さってる奇跡的な方がまだいらしたら、松竹萌えたぜー!ってな感想を私に教えて下さい飢えてます(笑)
もちろんPUZZLEツアー黒ナスだったぜーってな感想もカモーンです(笑)


ま、そんなん書いてもきっと一人ぼっちなんだろうけど、という自己完結。


過去 未来 目次 手紙