妄想暴走オタク日記 web拍手


2007年10月20日(土) 秋眠暁を覚えず


 「たつよし、何だらだらしとんねん」

 憮然とした物言いで、村上がそう言い放つのをぼんやりと見上げた大倉は、村上が何を怒っているのか、理解をしかねた。
 「やからぁ、だらだらすんなって!」
 とりあえず寝転がるのやめぇ、とがみがみ言う村上は、珍しく苛ついているようにも見えて、珍しいな、と大倉はのんびり考える。そんな急きも慌てもしない大倉の様子に、まだ何か言おうとした村上は、僅か毒気を抜かれた表情を浮かべて、今まさに開けた口をそのままに言い淀んでしまった。これではまるで一人キリキリしている自分が、ただ馬鹿のようで。
 「…おまえは…」
 ふぅ、とため息を一つ。それから依然、寝転んだままの大倉の横にどさりと座り込む。ふわりと香った匂いはどこか甘くて、大倉の鼻を優しく掠めた。
 「これ、何やろ…」
 大倉は、ぽつりと呟く。その声に反応をして村上が様子を窺えば、くんくんと鼻を鳴らした大倉が、村上くんええ香りや、とうっとりと笑った。
 「焼き芋の匂いがする」
 「はぁ?」
 「甘いかおり」
 その魅惑的な匂いに誘われて、やっと体を起こした大倉は、至近距離で村上に迫ってくる。至近距離で鼻をひくつかせる大倉から、僅か体をずらしただけで特に逃げようともしない村上は、今度こそ完全に怒気を抜かれてしまう。おまえ腹減っとんのか、と聞けば、どうやろ?と益々のんびりした答えが返った。
 やがて、村上から美味しそうな匂いはしても、村上自身は美味しくはない事に気が付いた大倉が、やっと体を離して、村上の隣で壁にもたれる。
 「秋やねぇ」
 ほんわかと笑う大倉の横顔を盗み見れば、それは随分と幸福に満ちた。そういえば、と村上は思う。屈託がなくて大らかな大倉は、どこか秋に似ている。
 過ごし易い気候と心地いい風、それに乗ってやって来る、金木犀の香り。
 村上の好きなそれらを思い起こさせる大倉が今、よほど幸せそうな事に、いつしか村上の心もゆっくりと解されていく。安心をする、というのはこういう事だっただろうか。
 「そやね。ええ季節になったなぁ」
 穏やかに話を合わせれば、大倉が嬉しそうに振り返る。にこにこと笑みを滲ませて、言った言葉は、
 「そうそう、食い物が美味いしね。おでん食べたい…」
 結局食い気に終始する大倉を、らしいと笑う頃には、村上の顔にも自然、笑みが浮かんで。

 どこか開け放したままの窓からふわり舞い込んだ風が、金木犀の優しい香りを運んできたような気がした。



▼2:16


すっかり秋ですねー。
外に出ると姿は見えずとも金木犀の香りがどこか漂ってきて、その香りを嗅ぐとああ秋だなぁと思います。大好きなんですよねー金木犀。それで、毎日香りを嗅ぐたびに何故か倉雛が書きたいーとか思っていて(笑)やっと書いてみたらばイメージとはほど遠い話になりましたけども(いつも)

大倉の存在とイメージが、秋を彷彿とさせると思っているのはわたしです。
なんとなく、あのほんわかした感じが実は焼き芋を思い出させます。あのほこほこしたあったかさと、さつまいもの幸せな甘味も。



旅に出ると言って、本当にぼちぼち出ています。
先日は日帰りで有馬温泉に行って来ましたー。ちょっと寒くなるともう温泉が恋しくなる、季節先取りと言えば聞こえはいいですけど、要は嬉しがりですね(笑)

そんな感じで、ぼちぼち生きています。

前回日記から、メールや拍手コメントで暖かいお言葉をたくさんありがとうございました。
完全復活ではまだないですけど、日記だけでも待ってます、と言って下さる方もいて、幸せな事だなぁとありがたく思います。マイペースにしかやって行けないですけど、思う事も書きたい事も色々あるし、ぼちぼち日記も書いて行きますので、適当にお付き合い頂けると嬉しいです。

大概放置プレイですみません、ちゃんと見てるよ、と言う事で以下拍手お返事。



9/25
◎9時/こんにちは、利美さんの書かれるエイトが〜の方
●お返事が遅くなってすみません。嬉しい※をありがとうございました!日記だけでも、と仰って頂けて心強かったです。わたし自身、日記を書くのは大好きなので、よろしければまたお付き合い下さいね。お気遣いもありがとうございました。

10/3
◎23時/フジさんへ
●フジさん、こんばんは〜こちらこそお久し振りです!ずっと通って下さっていたなんて露知らず…わー嬉しい!ありがとうございます。大変…では実はさほどなく、特に何もないままに、すっかり落ち着いた感じです(笑)。沖縄はレポらしいレポも出来なかったんですが、何か伝わるものがあったのなら嬉しいです。そうですよね、悲喜こもごも含めてエイトもエイターも長かった、という事で。フジさんもお疲れ様でした^^

10/5
◎14時/櫻さんへ
●櫻さん、ただいまです!待っていて下さった事が嬉しかったです、ありがとうございます。昴誕話の感想もありがとうございました。そうですね、毎年昴誕話は時々の昴であり、エイトを反映しているので、沖縄オーラスの個人的感想であるかも知れません。そういうものを感じて頂けたのなら嬉しい事だなと思います。そんな風に、昴も雛も穏やかであればいいなと思いますよね。

10/8
◎18時/夕月さま
●またのコメントをありがとうございます。こちらこそ、昴誕話を読んで下さってありがとうございました。私の近況知りたさにお笑いの請求もして下さるなんて、ちょっと照れてしまいます(笑)。お笑いの方ものんびりとやっておりますので、あまり気負わず気楽に請求してやって下さいね。迷惑でなんかありませんので!エイトのほうもぼちぼちやって行きますので、よろしければお付き合い下さいませ。

10/9
◎21時/おかえりなさい。お待ちしてました〜の方へ
●ただいまです^^レポにならないレポでしたけど、楽しんで頂けたのなら嬉しいです。最高感が伝わりましたか?伝わったのなら、よかったです。昴雛は、そうですね。ただ幸せな2人だったらいいなと思います。素敵な感想をありがとうございました。

10/19
◎1時/おかえりなさいです〜の方へ
●ただいまです。こちらこそ、今年も昴誕話を読んで下さってありがとうございます。そうですねー毎年少しずつ環境や状況が変わっていくし、それは当然の事なんですけど、地上から空を眺めて、それでも変わらず好きだと思えるのは嬉しい事ですよね。同じ感覚で、わたしの書くものを好きだと言って頂けるのも本当に嬉しい事です。ありがとうございました。



メールと重複したものは省かせて頂きました。
その他、サイレント拍手もありがとうございました。ああ今も見て下さってる方がいる、と嬉しく思えました。


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